岡村直樹【「清張」を乗る】
岡村 直樹著
税込価格: ¥840 (本体 : ¥800)
出版 : 交通新聞社
サイズ : 18cm / 267p
ISBN : 978-4-330-11109-4
発行年月 : 2009.12
利用対象 : 一般
日本における社会派推理小説の先駆けとなったベストセラー「点と線」が発表された昭和32〜33年は、昭和史にとってエポックメーキングな年であった。当時の世相を反映した松本清張作品から、鉄道シーンを一挙に再読する。
松本清張本の、新装版や改版が出ている。
清張は、やはり【点と線】が出発点で、その殆どを読んでいる。
清張本の主人公たちは、よく列車で移動するとは、当時から思っていた。
その彼らが乗る列車について追求したのが、本書だ。
4分間の空白を使った「あさかぜ」を筆頭に、単に列車の紹介のみならず、運賃から車種まで、事細かな説明が続く。
第1章「小説に探る鉄道風俗」で取り上げてあるのは、
【ゼロの焦点】の夜汽車での移動
【張り込み】の熱くて眠れない夜行列車
【けものみち】で出てくる寝台車
【死の発送】では貨物車も使われている
第2章で、「鉄路の果てに人生の岐路」を見るために、ローカル線を取り上げる。
【眼の壁」で山岳列車の殺意を「大糸線」に見て
【黒い樹海】は「見延線」の鉄道事故を描き
【砂の器】では「木次線」のひなびたローカル情緒を味わう
更に第3章に入ると、東京から西へと延びる郊外電車の色々を取り上げている。
物語の筋とは別に、こうした紙上の旅情を楽しみながらの再読は、贅沢な読み方になるだろう。
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