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2010.07.12

柴田よしき【ふたたびの虹】

ふたたびの虹

 

ふたたびの虹柴田 よしき著
税込価格: ¥630 (本体 : ¥600)
出版 : 祥伝社
ISBN : 4-396-33165-7
発行年月 : 2004.6
利用対象 : 一般

 

旬の素材を扱う小粋な小料理屋「ばんざい屋」。オフィス街という土地柄、独身のサラリーマンやOLに密かな人気があったが、女将の吉永には他人に明かせない過去が…。女将を取り巻く人々との心の触れ合いを描く。

 

柴田よしきが、こんな小説も書くとはちょっとした驚きだった。
京都が舞台の女性刑事物を読んだことがあるが、今ひとつ好きになれなかったのだ。

 

 

クリスマス間近な日にやってきたOLを描いた【聖夜の憂鬱】から、季節は巡って翌々年の初秋【あなたといられるなら】まで、7篇を収録。それぞれに、サブタイトルがついている。

 

【聖夜の憂鬱】ばんざい屋の十二月
【桜夢】ばんざい屋の三月
【愛で殺して】ばんざい屋の七月
【思い出ふた色】ばんざい屋の十月
【たんぽぽの言葉】ばんざい屋の四月
【ふたたびの虹】ばんざい屋の六月、それから……
【あなたといられるなら】ばんざい屋の九月

 

一つ一つに事件が起こり、このばんざい屋の女将(30代後半)が安楽椅子探偵を務める。
対してワトソン役は、骨董屋を営む清水。彼は、密かに女将に好意を寄せている。二人の恋愛?が、遅々として進まないのが、またいい。

 

一つの事件に関わった人たちは、このばんざい屋へ通うようになる。
時が過ぎていく内に、女将の過去が少しずつ判ってくる。

 

 

そんな中でも、女将の出す料理の数々に惹かれる。店の名前通り「京のおばんざい」なのだが、少し手をかければ誰にでも作れる、昔ながらの料理と言えばいいだろうか。
ミステリーと料理の二つを楽しめる、そういう意味でも昭和時代の人にお薦めの一冊である。素人の料理と安楽椅子探偵という組み合わせでいえば、芦原すなおのものが思い浮かぶが、本書は特に関西の方に、ぴったり来るかもしれない。

 

 

もう一つの楽しみ方として、器がある。
恋人(になっていく清水)が骨董屋なので、器の話もよく出てくる。
「この料理はこれに盛って」などと女将が選ぶのも、楽しむことが出来る。
「一粒で二度おいしい」とは、褒め過ぎかな?
毎日の食事作りを見直したくなること、必定。いや、これは筆者だけかもしれないが。

 

 

ふたたびの虹 平成16年6月20日初版第1刷発行
平成17年6月10日第2刷発行

 

 

 

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コメント

こんにちは。

私もこの作品、すごく好きです。
お料理がすごく美味しそうですよね。
事件もあまり生臭くないのでのんびり楽しむことが出来るし。
もしかしたら柴田さんの作品で一番好きかもしれません。

ずっと続編が出ないかな~と待っていたのですが、今年になって『竜の涙 ばんざい屋の夜』が出版されました。
こちらも前作同様にしっとりした雰囲気の素敵な作品でしたよ。

お時間があったらこちらもぜひ。

投稿: tako | 2010.07.12 20:14

takoさん、おはようございます。

お料理したくなりますよね。

『竜の涙 ばんざい屋の夜』、さっそく注文します。
また、楽しめそうです。

ありがとうございました。

投稿: | 2010.07.13 10:31

この小説は「七色のおばんざい」という題で相田翔子さんの主演でNHKでドラマ化されたんですよ。着物が似合っていて素敵でした。

投稿: | 2010.07.14 01:01

惑さん

知りませんでした。名古屋局からだったのですね。名古屋だから山田昌さんも、出演していらっしゃったようで、なつかしいなぁ。

投稿: | 2010.07.14 15:40

料理についてだけ反応しますね(^^;
今、放送中の NHK 「天使のわけまえ」をつい見てしまうのです。料理を担当されているのが、「LIFE」の飯島さんなので、本当に毎日の食事という雰囲気がよくでていて好感を持ちます。
わたしの日々の食事は、もうちょっとささやかですが。

投稿: ムムリク | 2010.07.14 16:22

ムムリクさん

昨夜の放映ですね。つれあいが見ていたような気がします。先週も、チラッと「大滝秀二だね」と善いながら (涼が)通り過ぎたようでもあります。

おいしそうな料理ですが、つれあいにはまだ敷居が高そうです。

投稿: | 2010.07.14 18:30

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