原尞【さらば長き眠り】
原 尞著
税込価格: ¥840 (本体 : ¥800)
出版 : 早川書房
ISBN : 4-15-030654-0
発行年月 : 2000.12
利用対象 : 一般
私立探偵沢崎シリーズ長編第三弾。5年の歳月をかけ、ついに完成。「そして夜は甦る」「私が殺した少女」の前二作で一世を風靡したハードボイルドの旗手が、長い沈黙を破り、世に問う渾身の一作。
1993年、本書の舞台となったこの年に、初めて外国人横綱が生まれた。ニューヨークの貿易ビルの地下で爆破事件があったのも、この年だ。このビルは8年後の9月、飛行機に突っ込まれるという運命をになうことになる。
実は、本書は2006年に一度エントリーしている。
本棚整理中に見つけて、痛む目を気にしながら再読。ストーリーだけを追っていた前回よりも、より楽しめた。しかし、主人公魚住のことをはじめ細かいことを覚えている割には、話の展開そのものはまったく忘れていることに愕然とする。またしてもざっと全編通して読んでしまった。
ハードボイルドは嫌いなのだが、何故かこの作家だけは大好きなのである。
しかし、著者は驚くほど寡作であり、もっと読みたいのに読めないというジレンマに悩むことになる。
著者自身触れておられるようにチャンドラーの影響は強く、それらはしゃれた文体や会話の随所に現れている。
寡作といえばコリンン・デクスターもそうだが、こちらは作家自らが幕を降ろしてしまった。
沢崎シリーズがそうならないことを、切に望むものである。
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