原尞【そして夜は甦る】
原 尞著
税込価格: ¥756 (本体 : ¥720)
出版 : 早川書房
ISBN : 4-15-030501-3
発行年月 : 1995.4
利用対象 : 一般
中身をまったく忘れていて、再読。
最初に【私が殺した少女】から読み始めたのだが、何だか順番を逆に読み返している気がする。
本書は、著者のデビュー作。
まったく、日本にはいないだろう、しゃれたハードボイルドの作家。
もう一つ興味深いのは、実在の名前をぽんぽんと出してくること。
新聞社でいえば、「毎朝新聞」と言うのが嫌で、今回も朝日の記者だった佐伯(ある意味事件の主人公)が、事件後毎日新聞でスクープをものにする。
舞台は、1888年。PL学園の桑田が、早稲田へ進学すると公言していた年。
以下、ネタバレあり。
この年の東京都知事というのが、何とその11年後に実際に都知事になる人とそっくりなのだ。文学界出身で、映画俳優の弟もいる。都知事は、弟よりもハンサムだという設定。
そして大胆なことに、この兄弟を事件の黒幕としているのだ。
あとは、西武鉄道らしきところが出てきたりしている。
また、何の遠慮もなくタバコが吸えた時代だというのも、面白い? 著者ご自身ヘビースモーカーなのだと思うが、社長室にも都庁にも、ちゃんと灰皿がある。
そして最後に、元オリンピック選手の射撃名人は、ピタリと指一本を打ち落とす。これをマスコミは、『命は助かった』と表現し、事実を知るのは語り手だけのようだ。
いやしかし、このデビュー作でも、渡邊自身は登場していなかったのか?
この渡邊の過去が、それぞれの作品の主題とは別に、そこに流れるテーマになっている。
そして間に一作入って、【さらば長き眠り】での結末へと続いていくのか。
さてと!これまた少女と家庭教師が出ていたような気がするものの、他のことはまったく覚えていない【私が殺した少女】を掘り出すこととする。
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