遠くの声に耳を澄ませて
宮下 奈都著
税込価格: ¥1,470 (本体 : ¥1,400)
出版 : 新潮社
ISBN : 978-4-10-313961-4
発行年月 : 2009.3
利用対象 : 一般
終わらない毎日に奇跡のようにおとずれる、小さな「気づき」の瞬間…。看護婦、OL、大学生、母親など、普通の人たちがひっそりと語り出す、ささやかだけど特別な12の物語。
12の掌篇からなる短編集。
その一つ一つが、他の作品とリンクしていて、やや複雑な相関関係を築いている。
【アンデスの声】谷川瑞穂
声とは、ラジオのこと。祖父が入院して初めて、瑞穂は住んでいる土地から動いたことのない祖父母が、若い頃遠い国のラジオを聞いて、その旨をラジオ局に報せていたことを知る。
→【秋の転校生】で、その転校生として登場。
→【白足袋】で、花嫁として登場。
【転がる小石】梨香
失恋したばかり。パン屋で知り合った陽子からかかってきた電話で誘われて、波照間島へ出かける。
→【初めての雪」で大学の同級生の子どもを宿している。
【秋の転校生】
ここでの語り手は、男性だ。
みのりの同僚なのだが、みのりが語っている部分はどれだったのだろう?
小学生の頃、ほんの一時転校してきた少女(瑞穂)の住む街らしいところへ出張で訪れる。
そこの言葉に触れて、みのりを連れてこようと思う。
同僚に、蔵原佐和子がいる。
【うなぎを追いかけた男】蔵原(看護師)
入院患者の高田と、その同室の濱岡。
→濱岡は、【クックブックの五日間】での、去っていった研究者。
【部屋から始まった】依子
蔵原佐和子の同僚。
【初めての雪】
梨香とトキオの同窓生。
【足の速いおじさん】
家庭教師をして、母親と同居している。
公園に住んでいるといううわさの「おじさん」は、叔父なのか?
これだけは、他の作品との関連が判らなかった。どこかで繋がっている人がいたかな?
【クックブックの五日間】碓井
朱鞠内湖という湖は、ダイヤモンドダストが観測できることもあるそうだ。
【ミルクティー】原田真夏
ここでもみのりが登場するのだが……
【白い足袋】咲子
いつも明るい都会で暮らす咲子。
又従妹の瑞穂の結婚式で、鳥取へ帰るが……
【夕焼けの犬】比々野
比々野は、ナースの蔵原の務める病院の医師。
屋上から眺めた夕焼け雲は、昔行方不明になった犬の形をしていた。
その日は、濱岡の四十九日だった。
蔵原という看護師とその妹佐和子。
佐和子はかわいい女の子として描かれているが、他の女性が何故か意識してしまう対象でもある。
【スコール】での妹と、共通性があるような気がする。
初出はすべて「旅」で、一年間連載されていた。
どおりで、テーマは全て旅だ。
遠くの声に耳を澄ませて
発行2009年3月20日
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