◆高田崇志【熊野の残照】
高田 崇史著
税込価格: ¥650 (本体 : ¥619)
出版 : 講談社
ISBN : 978-4-06-276171-0
発行年月 : 2008.10
利用対象 : 一般
伝承にまつわる一寸の「?」から歴史を辿る桑原崇と棚旗奈々の旅路は、故郷を捨てた神山禮子と共に、和歌山・熊野を舞台に牛王宝印に秘められた八咫烏の正体と熊野三山の謎を解く。「QED」シリーズ第10弾。
今回は、いつもと違う趣向で始まる。上記解説にある神山禮子のモノローグで、物語が進んでいくのだ。
どうやら熊野出身らしい禮子は、それをひた隠しにしている。
それではなぜ、捨てた故郷を訪れる薬学会の親睦旅行に、参加したのか?
東京を発って紀州路の鉄路に揺られながら崇の蘊蓄を聞いている禮子は、この時点ではまだ崇を馬鹿にしている。
無意識に蘊蓄合戦のようになってしまうのだが、崇は全く意に介していない。その辺りの対比が面白い。これまた、いつもとは違う趣向と言えようか。崇一人が蘊蓄を傾けるのでは、結構しんどい部分があるから。
と、せっかくこれまでと違う展開を楽しんでいたのに 奈々の妹登場。しかも、その時の 奈々の反応 過剰すぎ。
この二人が現れる必然性など無いような気がする。
それはともかく、いつも思うのだが、このシリーズは日本歴史で常識として習ってきたことの裏の意味を伝えていて、ある意味恐ろしい。
やがて、禮子の過去が次第に明らかになっていく。
その過去が、熊野の伝承と一致したとき、禮子はようやく母や叔母の悲しみが理ったのだった。
トリックは、 森博嗣の【今はもうない】と同じ。細部に注意していれば、その辺りの見当がつくのが残念。
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