平野啓一郎【本の読み方】
本の読み方スロー・リーディングの実践
平野 啓一郎著
税込価格: ¥756 (本体 : ¥720)
出版 : PHP研究所
ISBN : 4-569-65430-4
発行年月 : 2006.9
利用対象 : 一般
情報が氾濫する時代だからこそ、スロー・リーディングを提唱。夏目漱石「こころ」や三島由紀夫「金閣寺」から自作の「葬送」まで、古今の名作を題材に、本の生きた知識を体得する実践的な手法の数々を紹介する。
たしか2007年の夏、京都駅新幹線乗り場のブックキヨスクで、「おいでおいで」と招いてくれていた本。
サブタイトルに「スロー・リーディングの実践」とあるように、本はじっくりゆっくり読もうという提案である。
徹底して「アンチ速読」を貫くという立場をとっている。
新聞広告には、如何にして速読を身につけるかといったハウツー本が溢れているが、本書はその逆を行く。
折しも元旦の朝刊「ひと」欄は、伝説の元灘中教師 98歳の橋本武さんだった。
中学の3年間でたった一冊、中勘助の「銀の匙」を読む授業のことを取り上げている。
「横道こそが狙い」として、「丑」の字が出てくれば、十干十二支から甲子園の由来にまでたどりつく。主人公が駄菓子を食べれば、買い集めて試食する。
といった授業を通して、「自分で見つけたことは一生の財産になる」ことを教えた。
本書も、
本当の読書は、単に表面的な知識で人を飾り立てるのではなく、内側から人を変え、思慮深さと賢明さとをもたらし、人間性に深みを与えるものである。という。
勿論、ただゆっくり読めばいいと言っているわけではない。読書にもコツがあり、もっと楽しく本を読もうという薦めである。
「実践編」で挙げてある本は、教科書などで一度は目に触れている本ばかりだ。そう、国語の授業は、超スローリーディングなのだ。
どちらかというと、日頃せかせかと日常業務に追われる中、改めて読書の原点を探る思いで、本書を取り上げてみた。
ちなみに、新年の読書は、著者の最新作【かたちだけの愛】ではじまった。
本の読み方
2006年9月1日第1版第1刷
2007年7月23日第1版第8刷
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