堂場瞬一【雪虫】
堂場 瞬一 著
税込価格: ¥900 (本体 : ¥857)
出版 :中央公論新社
ISBN : 4-12-204445-6
発行年月 : 2004.11
利用対象 : 一般
新潟県警捜査一課刑事・鳴沢了。湿り気を帯びた灰色の雲の下、夏の終わりの湯沢で老婆が殺される。親子三代警察官という、刑事として生まれた男が人の心の闇に挑む。親子の絆と許しを描いた心を震わす警察小説。
先に【帰郷】を読んでしまったので、親子関係や事件への関与について多少知ってしまったのが残念な気がする。途中から、事件の謎の部分がかなり判ってしまうから。
それはさておき、刑事鳴沢シリーズの、第一作目。
横山秀夫と違う視点での警察もので、面白い。
その父と子の関係は、今回は了の祖父と父の関係であり、また父と了との関係でもある。
そこからはまた、事件関係者の肉親への愛
【帰郷】の嫌な同僚とは違った意味で絡んでくる新聞記者は、著者の経歴と多少関係あるのだろうか。
また、事件の目撃者として現れた、中学時代の同級生への想い。15年前にあこがれていた人は、今目の前にいる。だが、恐らくは破綻するだろうことを予測させながらの展開は、ある意味切ない。
もう一人。駆け出し刑事の大西海(かい)君の戸惑いや成長ぶりが楽しい。
本書の最後で、了は東京行きを決意するが、その後のシリーズでは大西は登場しないのだろうか?
【帰郷】での、大西の了への言葉からすると、どうもそのようだが。
で、ストーリーだが。
事件の発端となった殺人事件は、昔は美人だったろうと思われる老婆の殺人。この被害者が、昔とある新興宗教の教祖だったことから、了はその関係者を調べ始める。その宗教団体では、50年前に事件があった。
しかし、当時の記録は警察にまったく残っていない。
生き字引のような祖父に聞いても、曖昧な応えしか返ってこない。
事件のあった市の署長でもある父は、了に古い記録は自分も調べたが何もなかった、これ以上詮索するのは止めろという。
父はまた、
お前は一本気すぎる、とも言う。そうなると、一層ムキになっていく了なのだが……
堂場瞬一作品
堂場瞬一【帰郷】(11.07.04)
堂場瞬一【雪虫】(11.07.28)
堂場瞬一【孤狼】(11.09.27)
堂場瞬一【破弾】(11.10.09)
堂場瞬一【讐雨】(12.03.27)
堂場瞬一【虚報】(12.05.16)
堂場瞬一【血烙】(12.07.30)
堂場瞬一【被匿】(12.08.21)
堂場瞬一【ラストダンス】(12.09.07)
堂場瞬一【長き雨の烙印】(12.09.16)
堂場瞬一【七つの証言】(12.09.27)
堂場瞬一【疑装】(12.11.24)
堂場瞬一【アナザーフェイス】(12.12.03)
堂場瞬一【約束の河】(12.12.05)
堂場瞬一【敗者の噓】(12.12.19)
堂場瞬一【断絶】(13.01.10)
堂場瞬一【逸脱】(13.01.22)
堂場瞬一【蝕罪】(13.02.10)
雪虫
中央公論新社
2010/11/04 出版
2010/12/10 Reader™ Store発売
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