宮部みゆき【チヨ子】
宮部 みゆき 著
税込価格: ¥500 (本体 : ¥476)
出版 : 光文社
ISBN : 978-4-334-74969-9
発行年月 : 2011.7
利用対象 : 一般
5年前に使われたきりであちこち古びてしまったピンクのウサギの着ぐるみ。大学生の「わたし」がアルバイトでそれをかぶって中から外を覗くと、周囲の人はぬいぐるみやロボットに変わり——(「チヨ子」)。
表題作【チヨ子】は、以前【短編ベストコレクション2005】に収録されていたのを読んだ。本書は他に、超常現象を主題にした短編4つを収録。
殺された小学生の元同級生たちが集う、【雪娘】。その四人組の一人の結婚式に自分だけ招かれなかったのは、なぜか?その集まりをそっと見にきた、殺された少女、「雪娘」。
だが、他の三人には見える彼女を、一人見ることが出来ないのは何故か?
【チヨ子】がほのぼのとした印象を与えてくれるのとは違って、これはかなり怖い話しである。
ずっと交流のなかった叔父が開いている店を描いた【オモチャ】は、謎を残したままの終わり方が怖かった。
人は見たいものを見る。外界を見ているつもりでも、結局は自分の心の内側を見ているだけなのだ。犯罪被害者の噂話に尾ひれがついて傷つく中学生のカップルと、それを暖かく見守る父親。自身にも若き頃があった。タイトルの【いしまくら】とは、旅人を石枕の床に寝かせて、深夜その寝首をかく話しから。
著者へのインタビューを中心にした、大森望氏の解説が また楽しい。
参考記事
宮部みゆき【チヨ子】(05.06.14)
チヨ子
2011年7月20日初版第1刷発行
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