連城三紀彦【恋文・私の叔父さん】
連城三紀彦 著
税込価格: ¥515 (本体 : ¥490)
出版 : 新潮社
ISBN : 978-4-10-140520-9
発行年月 :2012.2
利用対象 : 一般
【直木賞(91(1984上半期))】部屋を出ていった歳下の夫。それをきっかけに、しっかり者の妻に初めて心を許せる女友達が出来たが…。「恋文」のほか、都会の片隅に暮らす大人の男女の様々な“愛のかたち”を描く全5篇を収録。〔「恋文」(新潮文庫 昭和62年刊)の改題〕
【恋文】
良く出来た妻と、子どものような夫。
身勝手な男だなあと思う。
こういうのは、男の視点からの小説だと、少々毒づいておこう。
【紅き唇】
いのちみじかし こいせよおとめ あかきくちびる あせぬまに「ゴンドラの唄」
娘婿に戦時中にあこがれた少尉の面影を見いだして、一人つくす老女。しかも、自身で一年だけという区切りを設けて。
おそらく、同じような人生を送った女性は多いことだろう。
「同じような人生」とは言っても、それは残された人生という部分だけだが。
【十三年目の子守唄】
これは途中で、「ははーん」と想像できそうな展開。
主人公の弟が、出番は少ないがとてもいい雰囲気を出している。
本書の中では、一番良かった。
【ピエロ】
切ない物語だ。
美木子は、いったい何を求めていたのだろう。同窓生の皆川と結局は浮気を出来ずにいたのに、つい『浮気をしてきた』と夫に口走る。
何があっても、いつでも『俺ならいいよ』と言う夫に物足りなさを感じていたのだろうか。
だが、こうした思い上がり(だと思う)は、手痛いしっぺ返しをくう。
あまり愉快になれない話だが。
【私の叔父さん】
ヒロイン夕美子からは大叔父に当たる構治は、そこそこ売れている写真家だ。
その夕美子の母夕季子が、帰郷するときに構治が撮った写真に込めていたメッセージ。
母親の弟である「叔父さん」というのは、自分にとっても特別な存在だった。母とは10歳も離れているので、「おじさん」とは呼ばず「おにいちゃん」と呼んできた。
おそらく、幼い自分は、この主人公たちと似通う感情を持っていたのではないかと思う。
恋文・私の叔父さん
平成24年2月1日発行
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