田山花袋【田舎教師】
田山 花袋 著
税込価格: ¥420 (本体 : ¥400)
出版 : 新潮社
ISBN : 4-10-107902-1
発行年月 : 1989
利用対象 : 一般
中学へ入ってからは、月に二冊ほど文庫本を買ってもらった。それとは別に、夏休みには叔父が町(八幡町)へ出た折にきれいな装幀の本を買ってきてくれた。
最初に選んだ本の一冊が、この「田舎教師」ではなかったか。何故この本をとは思うが、教師をしていた叔父と繋がるものを感じたのかもしれない。
主人公の清三は、家の都合で進学出来ず、教師になる。赴任した学校でも、自分はここには染まらないでいつかは夢を叶えようとは思っている。
季節は巡り、夏休みには密かに恋していた友達の妹も帰郷する。
だが、秋になり冬が訪れる頃から、同士とも頼む友人たちの変化について行けなくなる。しばらくは退廃的な生活にも染まる。
そして、孤独と絶望の中での病気と死。
それぞれの季節の、風景描写がすばらしい。
本書をきっかけに、中学時代は「自然主義文学」を愛したように思う。
本書に引用されている国木田独歩の【武蔵野】は、教科書にも出てきた。当時ももはや武蔵野の風景は変わっていただろうが、容易に目の前にその光景を浮かべることは出来るのである。
その中に「懐かしい野分である」という一文があったように記憶しているのだが、今【武蔵野】を読み返しても それはなかった。
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