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2012.06.27

三浦しをん【舟を編む】

タイトル舟を編む

舟を編む三浦しをん 著
税込価格: 1,575円
出版 : 光文社
ISBN : :978-4-334-92776-9
発行年月 : 2008.9
利用対象 : 一般

玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。


非常に評判の良い本だということ。知人も良かったと勧めてくれていたこと。
超真面目な 辞書編纂を扱った本だということ。
と、これまで(数少ないのだが)読んだ三浦しをんの本というのが、何となく乖離していた。

しかし、やはり三浦しをんだった。
主人公は、真面目な辞書編纂に相応しい、馬締(まじめ)という名の変わり者。
そして、軽薄な編集者西岡。

真面目とは実行するということだ。 (夏目漱石)
という(本書とは関係のない)引用はさておいて、下宿先の大家の孫娘、香具矢への恋文騒動など、このテーマと中身とのミスマッチを楽しんでいた。


が、半分くらい読んできたところで、評価した人たちの感想はあたっていたと思うようになる。

一つの仕事にこれほど打ち込めるのを、うらやましいという気持ちもあるだろう。
軽薄に見える西岡も、営業担当という 本領を発揮出来る場で、しっかりと間締たちをサポートしてくれた。


後半、女性雑誌の編集をしていた岸辺の存在も面白い。若い女性の感性を辞書に反映出来た部分もあるようだ。


もう一つ、印刷会社の紙に対する思い入れも、なかなか興味深かった。「ピッタリ来る紙を作る」、こうした技術のすごさにも、あらためて驚かされる。


ずっと「大渡海」に関わり、出版直前に亡くなった松本先生に対する間締の言葉。

言葉はときとして無力だ。荒木や先生の奥さんがどんなに呼びかけても、先生の命をこの世につなぎとめることはできなかった。 けれど、と間締は思う。先生の全てが失われたわけではない。言葉があるからこそ、一番大切なものが俺たちの心のなかに残った。

関連新聞記事
〈ニッポン人脈記〉日本語の海へ:1()


舟を編む
2011年9月20日初版1刷発行


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