佐々木譲【警官の血 上】
佐々木 譲 著
税込価格: 662円
出版 : 新潮社
ISBN : 978-4-10-455505-5
発行年月 : 2008.9
利用対象 : 一般
ある夜、谷中の天王寺駐在所長だった安城清二は、橋から転落死する。志を継いで警官になった息子の民雄だったが、命じられたのは北大過激派への潜入捜査だった−。戦後闇市から現代まで、時代の翳を描き切る警察小説。
佐々木譲さんと言えば、堕落した北海道警察のことを描いた作家という認識しかなかった。
本書は違う。親子三代に渡った、警察官一家の話である。
鳴沢了も、祖父・父と続いた警官一家だった。但し、彼らはいずれも刑事である。
安城清二は、地元のお巡りさんでいることに、ささやかな市井の人としての幸せを願った。
祖父である清二の時代は、男娼の不振な死と鉄道員が殺されるという謎を残しつつ、自らも跨線橋から転落死するという謎を残して次へと引き継いでいく。
二代目の民雄は、勉強がよく出来たがために当時の学生運動を探るべく、北大へ潜入するという任務を受けざるを得なかった。
実際の大学名や、(おそらくは)実在の人物を描いている。こうしたこと(スパイ)は、実際に行われていたのだろうか。
しかし、望まぬ過酷な任務は、民雄に人格障害という後遺症を残した。
いずれも警察官の亡き父の友人たちの努力で、派出所勤務が望めるというところで、上巻は終わっている。
警官の血 上 2008年5月1日発行
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