内田康夫【不等辺三角形】
内田 康夫 著
税込価格: 1,785円
出版 : 講談社
ISBN : 978-4-06-215951-7
発行年月 : 2010.4
利用対象 : 一般
名古屋、奥松島で起きた殺人事件を繫ぐもの。それは名古屋の名家に伝わる古い仙台簞笥だった。事件解明を依頼された浅見光彦は、簞笥から見つかった謎の漢詩に注目し、その意味するところを解こうとするが…
「不等辺三角形」という題名は、当初から予定されていたもののようだ。
名古屋市、東松島市、そして宮城県丸森町の三点を結ぶ物語を展開させることを想定していたという。だが、実在の歴史上の人物の登場とその作品(漢詩)から、物語は違う方向へ行った。
この三市にある建物は、非常に興味深い。浅見が訪問して中を巡る描写など、一度行きたいと思わせられる。
名古屋にある名家正岡家とその古い屋敷。仙台箪笥を嫁入りの際もってきた、奥松島出身の今は亡き奥方。
その奥方の娘とやや年下の使用人柏倉。彼は戦災孤児だった。
それはともかく、忠実な使用人だと思われていた被害者 柏倉は、屋敷の調度類を持ち出していた。しかし、これでは何か納得しづらい。というわけで、真相が暴かれていくのだが。
最後に明かされた柏倉と正岡家との秘密は、何とも切ない話だ。判っていれば、こうした悲劇は起きなかったであろうに。
本書の表紙カバーは上記の画像だが、不等辺三角形をいくつも並べて組み合わせたロングスカートをはいた女性が描かれている。裏表紙にも、キルトの断片のように不等辺三角形が散っている。
ちなみにノベルズ版(左の画像)は、大きな不等辺三角形の一辺に女性が腰掛けているというもの。
頂点に位置している二人の男性についても言及したい?また、三角形のねじれ具合も気になるところ。
不等辺三角形
2010年4月20日第1刷発行
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コメント
ノベルス版のイラスト。だまし絵なので実際には存在しえないという点では、もはや不等辺以前に三角形ではないのでは、という見方もできますね(^^;
平面図的にはむしろ二等辺三角形に見えますし(^^;
などと余計なところですみません(((((^^;
投稿: ムムリク | 2012.08.16 15:41
うーむ、女性の正面から見ると 直角三角形のようにも……。
投稿: 涼 | 2012.08.19 08:21