大沼紀子【ばら色タイムカプセル】
大沼 紀子 著
税込価格: 693円
出版 : ポプラ社
ISBN : 978-4-591-12914-2
発行年月 : 2012.4
利用対象 : 一般
13歳の家出少女・奏が流れ着いた場所は、海が見える町にある不思議な老人ホーム「ラヴィアンローズ」だった。咲き誇る薔薇が自慢のこの施設で、年齢を詐称して働きはじめた奏は、薔薇園に隠されたある噂を知ることに…。
冒頭で、大きな伏線がある。
奏(かなえ)の父母は離婚している。父は再婚し、その相手が自分の家庭教師だったために、奏は新しく母親となった人になじめず、家出をした。
実母は一緒に暮らそうと言ってくれるが、それもうまくいくかどうか自信が無い。
という奏が、ちょっと変わった老人ホームで過ごした一夏。
そこには、色んな人がいた。
ホームの経営者と、その妹で実際の采配をふるっている遙。
元気な三人のおばあさまたち。
その彼女たちから「海老さま」と呼ばれているイケメンのコック。
そして、近くの中学生山崎和臣。
「桜の樹の下には屍体が埋まつてゐる」と言ったのは梶井基次郎だったが、ホームの庭中を埋め尽くしている薔薇の樹の下には、何があるのか?
応えはあっけない結末で、コックとの復讐劇は終わったのだった。
しかし、薔薇の香りが馥郁と香ってくるようで、決して後味が悪いものではなかった。
もう一篇。
和臣の視点で描かれた【ボーイズ オン ザ ライン】も収録。
ばら色タイムカプセル
2012年4月5日第1刷発行
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