堂場瞬一【約束の河】
堂場 瞬一 著
税込価格: 900円
出版 : 中央公論新社
ISBN : 978-4-12-205223-9
発行年月 : 2009.11
利用対象 : 一般
hontoの電子書籍で読んだもの
法律事務所長・北見貴秋は、ドラッグ依存症による二ヵ月の入院療養から戻ったその日、幼馴染みの作家・今川が謎の死を遂げたことを知る。自殺か、事故か、それとも…。死の真相を探ろうとする北見の前に、ドラッグによって失われた記憶の壁が立ちはだかる。【「BOOK」データベースの商品解説】
4人の少年にとって、河原は基地だった。そこに放置された自動車の中で、彼らは思い思いに過ごす。座る場所はじゃんけんで決める。
席にははっきりとした序列があった。運転席が特等席で、助手席が二番目。濡れている場所の近くは最低で、「貧乏席」と呼ばれていた。
その日、特等席に座っていたのは、カズ。助手席のミノルは、いつも本を読んでいる。
そして「貧乏席」に座ったのは、気の弱いタカだった。
この描写で、この三人のことがさりげなく伏線として描かれている。
その彼らを襲ったのは、自動車への放火だった。
イズルは遅れてきて、この災厄からは逃れたのだが、友だちと助けようとして片腕を失う。
カズは死んだ。
この出来事が、その後の彼らの行き方を変えていく。
病院を出て今川(イズル)の死を知った北見は、自分や出流(イズル)の関係者に会いに行く。
島尾(ミノル)は、酒屋をついでそれをコンビニにしていた。
藤山(カズ)の兄は、弟の死で荒れた少年時代を送ったあと、不動産屋になっていた。
北見(タカ)と一時は恋人関係だった服部奈津は、今川と婚約していたという。
各章の始めに出てくる小説は、出流が書いたものか?自分たちの体験を、ほぼそのまま綴っている。
本当は小説家志望だった、島尾。
ミスリードかと思わせて、以外とこれが直球(ストレートな伏線)だった。
矢萩川・ 思居橋という、舞台の名前がいい。
だが、物語は後味の悪い終わりを迎える。
折に触れ登場する、北見の妻香織と娘の明日菜の存在だけが救いだ。最後まで。
堂場瞬一作品
堂場瞬一【帰郷】(11.07.04)
堂場瞬一【雪虫】(11.07.28)
堂場瞬一【孤狼】(11.09.27)
堂場瞬一【破弾】(11.10.09)
堂場瞬一【讐雨】(12.03.27)
堂場瞬一【虚報】(12.05.16)
堂場瞬一【血烙】(12.07.30)
堂場瞬一【被匿】(12.08.21)
堂場瞬一【ラストダンス】(12.09.07)
堂場瞬一【長き雨の烙印】(12.09.16)
堂場瞬一【七つの証言】(12.09.27)
堂場瞬一【疑装】(12.11.24)
堂場瞬一【アナザーフェイス】(12.12.03)
堂場瞬一【約束の河】(12.12.05)
堂場瞬一【敗者の噓】(12.12.19)
堂場瞬一【断絶】(13.01.10)
堂場瞬一【逸脱】(13.01.22)
堂場瞬一【蝕罪】(13.02.10)
約束の河
2005年1月25日初版発行(親本)
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