中島京子【小さいおうち】
中島 京子 著
税込価格:1,660円
出版 : 文藝春秋
ISBN : 978-4-16-329230-4
発行年月 : 2010.5
利用対象 : 一般
赤い三角屋根の家で美しい奥様と過ごした女中奉公の日々。ノートに隠されたひそやかな恋愛事件。60年以上の時を超えて、語られなかった想いがよみがえる−。懐かしくて苦い記憶の物語。【「TRC MARC」の商品解説】より
主な登場人物は、語り手である タキ。
そのタキが奉公した先の奥様、時子とその息子 恭一。
時子の再婚相手でオモチャ会社に勤める、平井氏。
平井の部下の板倉。
この板倉は、「小さいおうち」が建った頃、写生をしにきている。それが、さりげなく書かれているが、実は大きな伏線になっているようだ。
殆どが戦争中の話なのに、暗い感じはしない。
そのことで、後年(タキが米寿になった頃)書かれたノートを読んだ甥の健史は、そんな時代ではなかったはずだとタキをなじる。
タキの語る現代(ノートに書いている時代)とタキの方向時代とを行きつ戻りつ、話は進んでいく。
時子奥様の女学校時代の友人 睦子さんも、時子にあこがれていた一人だったのだろう。
そして、タキもまたそうだったのではと、後に健史は思う。
物語は一旦、戦争が酷くなってタキが故郷の山形へ帰ったところで東京とは途切れる。
さらに、タキがなくなってからは、甥の健史の語りとなる。
このあたりから、ミステリーもどきの逆転劇の様相を持ち始める。
最終部分、時子の息子の恭一が80歳近い老人になっていることに、軽く驚く。
当たり前といえば当たり前なのだが、戦争中のことは 母の若い頃の話などとも重ね合わせて読むと、何だか身につまされる。
松たか子と倍賞美津子で、映画になるようだ。
小さいおうち
Kindle価格570円
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