今野敏【隠蔽捜査】
今野 敏 著
税込価格: 662円
出版 :新潮社
ISBN : 978-4-10-132153-0
発行年月 : 2008.2
利用対象 : 一般
竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。その朴念仁ぶりに、周囲は“変人”という称号を与えた。組織を揺るがす連続殺人事件に、竜崎は真正面から対決してゆく。【「BOOK」データベースの商品解説】より
まさに「朴念仁」「変人」ではあるが、いつもその場その場で正しいと信じたことを行っている。
エリート意識むき出しのかなり臭い人物ではあるが、少々滑稽なくらいに純粋でもある。
対して、小学校の同級生であった伊丹。実は竜崎は、伊丹にいじめを受けていた。しかし、当の伊丹はそのことを忘れているようで、常に颯爽と行動している。
だが、ある事件をきっかけに、二人の関係は微妙に変化していく
一方家庭内でも、竜崎は浪人中の息子がヘロインに手を染め出したという、衝撃的な出来事に向き合わざるを得ない。
事件の隠蔽も息子の犯した罪のもみ消しも、竜崎の判断で可能ではある。だがそれをしないのが、竜崎の竜崎たる所以で……。といったところか。
いつも家庭を任せきりにさせられている、妻の冴子が実にかっこいい!
息子の自首は自分が連れて行かねばと思っている竜崎に、冴子はキッパリと言う。
「(警察へ)あたしが連れて行きます」と。
それは父親の仕事だとうだうだという竜崎に対しても、「何をいまさら……」「あなたは、役所で仕事していらっしゃい」ともいう。
さらに重要なことだから自分が行くと言う竜崎に
「重要なことは、任せられないというわけ?」と突っ込む。
その後の様子を尋ねた電話にも
「起きてしまったことは仕方がない。問題は善後策でしょう?あなたは、これが最良の方法だと思ったんでしょう」と応え、「そうだ」という言葉にも「ならば、それに従うしかない」と、キッパリと言うのである。
「おまえ、けっこういい官僚になれるかもしれないな」
「主婦をなめないでね」
もう一人、部下の谷岡もいい感じだ。
仕事はテキパキとしているし、必要なこと以外は出しゃばらない。だが、気配りは非常に出来ている。
一時は彼さえも疑心暗鬼で見ていた竜崎だが、あとを託せるのではと判断するようになる。
シリーズとして、続いていくようだ。
隠蔽捜査
Kindle価格:630円
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 堂場瞬一【英雄の悲鳴 ラストライン7】(2025.03.19)
- 篠田真由美【センティメンタル・ブルー】(2025.03.17)
- 【くらべて、けみして 校閲部の九重さん】(2025.03.13)
- 【Casa BRUTUS特別編集 器の教科書】(2025.03.11)
- pha【移動時間が好きだ】(2025.03.10)
コメント
こんにちは。
『隠蔽捜査』シリーズ、私は去年初めて読んだのですがあまりの面白さに出てる分(5冊)一気読みでした(^^)
最初はすごくヤな奴に見えていた竜崎の設定が、見る角度を変えることでガラッと変わるところが新鮮でした。
3作目は正直イマイチでしたが(^^;、それ以外は面白かったです。
(3と4の間に「3.5」がありますので注意してください)
投稿: tako | 2013.03.16 13:47
takoさん、コメントをありがとうございます。
∥最初はすごくヤな奴に見えていた竜崎の設定が、見る角度を変えることでガラッと変わるところが新鮮でした。
そうそう、ぐっと入り込んでいけるのね。楽しみに読んでいきます。
シリーズの三作目というのは、そうなのかなぁ。堂場瞬一の「アナザーフェイス」シリーズもそうだったような。
今、「果断」(二作目)を読んでいます。
投稿: 涼 | 2013.03.16 14:07