堀辰雄【風立ちぬ】
堀 辰雄 著
税込価格: 380円
出版 : 新潮社
ISBN : 978-4-10-100402-0
発行年月 : 2011.10
利用対象 : 一般
風のように去ってゆく時の流れの裡に、人間の実体を捉えた『風立ちぬ』は、生きることよりは死ぬことの意味を問い、同時に死を越えて生きることの意味をも問うている。堀辰雄の中期を代表する作品である。【「BOOK」データベースの商品解説】より
作品紹介は、画像の「新潮文庫 改版」から。【美しい村】も収録されていて、紙本ではこれが定番だと思う。
読んだのは、青空文庫版である。
言葉が美しいなと思う。
高校時代に読んだときには、あまり感じなかったことだ。
また、当時ロマンチックだと思ったのかもしれないが、そういう部分はなかったような気もする。
直裁に、節子の死については触れていないが、主人公の喪失感でそれを表現している。
ミステリを読んで、同じ本の中で何人もの人が死ぬ。何とも思わないわけでは、決してない。
しかし、一人の若い女性の死が、これほどまでに胸を打つことはない。
死を直視しながら、敢えて触れずに過ごす日々というのは……。二人の心情もほのめかしながら、物語は淡々と最後を迎える。
主人公は生き、生を全うし、こうして物語にしている。
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