【古書ミステリー倶楽部】
ミステリー文学資料館編 江戸川乱歩他著
税込価格:840円
出版 :光文社
ISBN : 978-4-334-76645-0
発行年月 ::2013/10/03
利用対象 : 一般
松本清張「二冊の同じ本」、甲賀三郎「焦げた聖書」、都筑道夫「署名本が死につながる」など、斯界の名手たちが古書を題材にしたミステリーの逸品を収録。異色の推理小説アンソロジー。【「TRC MARC」の商品解説】
江戸川乱歩は、口絵での参加。2階建ての「三人書房」という古書店が描かれている。これは、「貼雑年譜」からだという。
さて本編の執筆者と収録作は、以下の通り。
松本清張【二冊の同じ本】
城昌幸【怪奇製造人】
甲賀三郎【焦げた聖書】
戸板康二【はんにん】
石沢英太郎【献本】
梶山季之【水無月十三ヤオチュー】 「ヤオチュー」のヤオは公の二画目を取ったもの。チューは九。
出久根達郎【神かくし】
早見裕司【終夜図書館】
都筑道夫【署名本が死につながる】
野呂邦暢【若い砂漠】
紀田順一郎【展覧会の客】
仁木悦子【蔵の中の実験】
解説は、新保博久。
仁木悦子の【蔵の中の実験】は、全集もの(?)で読んだのだが、怖かった。
語り手である小学生が『本が復讐した』と叫んで蔵を飛び出すのが、何とも怖かった。
清張や出久根以外はいわゆる本格ものを書く人が多く、あまりなじみがなかった。
出久根達郎は自身古書店を営んでおり、確かそれを題材にして直木賞を貰ったのではなかったか?
本編は古書店を扱ったものではなく、幼い頃読んだ本と再会した驚きとその背景を描いたショートショート。
ここから、話が始まるような……。
清張の【二冊の同じ本】も、読んでいる。
確かこういった展開で というのも、何となく覚えていた。
「わたし」は、なくなった友人から貰った本と同じものが、古書店に出ているのを知って手に入れる。
その友人が亡くなる前に養子として迎えた義弟は、何となくうさんくさい。「わたし」とその古書を争ったり、「わたし」の行き先で工作をしたりする。
未亡人の行く末を心配した「わたし」だったが、彼女ははるかに先が見えていた。
というので、本書の中では比較的読後感がよかった方だ。
あとは、かなり気持ちの悪い展開の物語が多く、昔の「探偵小説」というのはこうした猟奇的なものも多かったのかなと思う。
本書については、古書という人の手を経て色々な運命をたどった本が導くミステリーとでも言おうか。
古書ミステリー倶楽部
2013年10月20日初版1刷発行
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