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2014.01.15

藤野恵美【ハルさん】

ハルさん

ハルさん高木 智編著
税込価格: 1,365円
出版 : PHP研究所
ISBN : 978-4-569-70039-7
発行年月 : 2008.9
利用対象 : 一般

「天国の瑠璃子さん。僕たちの娘は今日、お嫁に行ってしまいます」 娘の結婚式の日、お父さんのハルさんが思い出す5つの謎。頼りない人形作家の父と、日々成長する娘の姿を優しく綴った、ほのぼのミステリ。【「TRC MARC」の商品解説】


結婚式当日、「花嫁の父」であるハルさんは、妻の瑠璃子さんの墓前に詣でてから式場に向かう。
その道すがら通り雨にあって思い出したのが、娘のふうちゃんが幼稚園の頃、同じような天気の元で起きた小さな謎。

という風に、五つの話が語られていく。

第一話 消えた卵焼き事件
第二話 夏休みの失踪
第三話 涙の理由
第四話 サンタが指輪を持ってくる
第五話 人形の家

第一話の舞台は、幼稚園。
瑠璃子さんが逝って、未だ間もない。ハルさんは、必死でふうちゃんを育てようとしている。
そんな中で起きた、幼稚園での小さな事件。
ヒントは、卵焼き・アレルギー・ぬいぐるみ など。

第一話が解決して、ハルさんは再び現実に戻る。タクシーは、式場に着いた。
そこで仕事の上の恩人でもある旧友浪漫堂と出会ったハルさんは、本の話からまたも思い出すふうちゃんの4年生の頃。

第二話では、ふうちゃんは4年生になっている。その夏休み。
友だちは、ハワイへ行く。ハルさんは、ふうちゃんをどこへも連れて行けない暮らしを、少しばかり申し訳なく思っている。
ハルさんとふうちゃんは、ハワイへは飛行機に乗っていく。母の瑠璃子さんは、空の上からふうちゃんを見守ってくれている。といった話をしているのだが、ちょうど北海道に住むハルさんの姉から電話がかかってくる。
ハルさんは浪漫堂のおかげで、ボチボチ仕事が順調になっている。

と、こうしたことを伏線にして……、という話。

またも最後は結婚式場で、次の話に繋いでいく。

今度は、ふうちゃんの中学時代の友だち「ちかちゃん」と再開したことから。

そう、ふうちゃんは中学生になったのだ。

お年頃のせいか、少々反抗期のようでもある。
そうした態度が、ハルさんは淋しい。
中学の先生に勧められて(?)買ったテレビで「いじめ」のことが放映されていたのに影響されて、ハルさんはあれやこれやと「いじめのサイン」にたどり着き、悩む。

今回は伏線の持って行き方に少々強引なところがあり、偶然が多すぎたような気がする。


高校生生活も終わりの3年生の冬休みに、アルバイトをするふうちゃん。
バイト先で怪我をして搬送された先は、自分が生まれた病院でもあり、母の瑠璃子さんが入院していたところでもあった。
クリスマスイブを病院で過ごすことになったのだが、素敵なクリスマスツリーが現れて……。

ちょっとメルヘンチックな、いい話だった。

第五話は、北海道の大学に入ったふうちゃんが、春休みに帰省した時の話。
一年ぶりだというのに、またも事件(?)で引っ張り出されたはるさんは、ふうちゃんとゆっくり過ごすことが出来ないのだった。

ずっと一緒だった娘との暮らしが、ふうちゃんの遊学と同時に一人暮らしになり淋しいだろうなと、ここは何故かしんみりとしてしまった。


こうした小さな謎を思い出している内にも、結婚式は進んでいき、教会の庭で行われたパーティーで、新郎の話がある。そこではじめて、ハルさんはふうちゃんと新郎との出合いを知ることになる。


ほんわかとした話だが、ハルさんの頼りなさが半端でなく、あまり現実的でない感じ。
文庫版あとがきでわかった著者の体験が、その下敷きになっているということもあろうか?

話の進め方は、五話とも同じパターンで、童話での繰り返しのようだと思ったのだが、著者は童話作家だった。


帯に、『朝日新聞「売れてる本」で紹介』とある。
実はそれを読んでの購入だった。


ハルさん
honto価格:630円
Kindle価格:598円


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