姫野カオルコ【昭和の犬】
姫野 カオルコ 著
税込価格: 1,680円
出版 :幻冬舎
ISBN :978-4-344-02446-5
発行年月 : 2013/09/07
利用対象 : 一般
柏木イク、昭和33年生まれ。8歳で犬に咬まれる。咬み痕を笑う母。19歳、東京の歯科の貸間に住む。美人妻の秘密。49歳、遠距離介護。自らも病に…。【「TRC MARC」の商品解説】より
今期、直木賞受賞作。
名前はよく知っているはずなのに、初めての作家。著作も知らないものばかりだ。
登場人物が、皆一風変わっていて面白い。
もうかなり昭和(それも戦後)も進んでいるはずなのに、自分たちの時代と同じような感覚に陥る。
それは滋賀の話だけではなく、イクが東京へ出てからもよく似た印象を受けた。
犬の話ではあるのだが、「犬から透けて見える飼い主の事情−」と解説にもあったように、そのかなり変わった人間模様が興味深いのだった。
書き方も少し変わっていて、ルビのように読ませたい言葉が片仮名で、ルビとして漢字が振ってあったりする。
また、滋賀の言葉にも、かなりの部分で括弧書きの共通語が記されている。
よく聞く関西弁とそんなに変わりないのだから、こうした註釈は必要だったのだろうか?
各章が、当時のテレビドラマのタイトルになっているのが、懐かしかった。
しかし見ていたのは『逃亡者』くらいだ。
ほかに、
『ララミー牧場』
『宇宙家族ロビンソン』
『インベーダー』
『鬼警部アイアンサイド』
『バイオニック・ジェミー』
『ペチコート作戦』
『ブラザーズ&シスターズ』
最初の『ララミー牧場』で出てきた「シャー」という名のネコが、利口で可愛かった。
「シャー」というのは「トン・ナン・シャー・ペー」の中の「西」である。
ということからしても、名付け親の父親の個性が感じられる。
この父親についてイクは一定の理解を示しているが、あまり納得できない。イクの理解に対してではなく、父親の言動について。
これは母親についても同じだ。
テキストDAISY、製作中。「ルビもどき」に苦労している。
昭和の犬
2013年9月10日第1刷発行
2014年1月20日第3刷発行
Kindle価格:1,280円
honto価格:1,344円
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