田中啓文【道頓堀の大ダコ】
田中 啓文 著
税込価格:778円
出版:集英社
ISBN:978-4-08-745106-1
発行年月:2013/08/21
利用対象:一般
道頓堀に巨大なタコが現れた。対処に大わらわの大坂西町奉行所の面々をよそに、大食漢の名物奉行・大邉久右衛門が用人に命じたのは…。【「TRC MARC」の商品解説】より
正直時代物はあまり好きではないのだが、これは面白かった。
いや、「こんな言い方あり?」といった突っ込みどころは満載だが、それでも面白い。
第一話:風邪うどん
主人公の勇太郎が屋台のうどん屋に出会すあたりで筋は見えてくるので、以後の意外感はない。
最初の章だし、登場人物の紹介ありきか?
表紙絵にある、どうやら女性二人の恋のさや当てもからませる予感が。しかし、この絵で見る主人公、何となくひ弱な感がしないでもない。
「狐うどん」がいつからどこで始まったかは諸説あるようだが、本書ではこの事件が解決した時に始まったとしている。
だが、おいしいうどんの出汁の講釈(?)が面白い。大阪が北海道の昆布が集まってくるところでもある。
以下、
第二話 地獄で豆腐
第三話 蛸芝居
第四話 長崎の敵を大阪で討つ
と、面白い話が続く。
主人公は勇太郎だと書いたが、サブタイトルに【鍋奉行犯科帳】とあるように、食いしん坊の奉行 大邉久右衛門の推理が中心なのだ。
ここに、「業突屋」の婆さんが絡む。
その「業突屋」の料理がまた、おいしそうなのだ。
「お決まり」という定食しか出さないのだが、例えば
・ 小芋とネギの含め煮
・ コンニャクと大根の炒り煮
・ アサリの味噌汁
・ 走りの茄子の塩揉み
これらの出汁の具合が誠に絶妙で、いい味を出しているという設定。
他にも、虎が登場したり大ダコを上げたりと、奇想天外な事件が続く。
江戸と上方の文化の違いも、面白かった。
道頓堀の大ダコ
2013年8月25日第1刷
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