沢村浩輔【夜の床屋】
沢村 浩輔 著
税込価格:799円
出版:PHP研究所
ISBN:978-4-569-70039-7
発行年月:2014/06/28
利用対象:一般
第4回ミステリーズ!新人賞受賞作の「夜の床屋」をはじめ、四季折々の「日常の謎」に予想外の結末が待ち受ける、新鋭による不可思議でチャーミングな連作短編集全7編。【商品解説】
元々は【インディアンサマー騒動記】という本の改題・文庫化。
一見何もないような話だが、突き詰めると怖いというか。
まさに、
奇妙な事件に予想外の結末が待ち受けている。
体験者には「予想外」だが、すべて綿密に計画されたものだったとしたら……。
道に迷ってたどり着いた無人駅から見えた灯り。そこは「夜だけ開く床屋」なのか?
ちゃんと客(というかキャンセルの連絡)も来るし、髭を当たってくれたのだが……。
という表題作【夜の床屋】をはじめとした7編の連作。
【空飛ぶ絨毯】は、寝ている間に、寝室に敷いてあった絨毯が無くなった。絨毯は、空を飛んでいってしまったのか?という話。
この物語も、怖い。何がって、人間の執念が。
【ドッペルゲンガーを探しに行こう】は、ちょっと仁木悦子さんを思わせる作品だ。
佐倉は、子どもたちに見込まれて(?)、彼らの陰謀の片棒を担ぐことになる。
いい意味の黒幕である大家の国府さん。最後に登場するだけだが、いい味を出している。
本編は、国府さんの『あら、そうなの』という台詞で終わっている。
とここまで書いてきて、あとの【葡萄荘のミラージュⅠ】【葡萄荘のミラージュⅡ』と【エピローグ】は連作のようだなと思って読み進めていった。
しかし、エピローグを読んで、あっと思った。
何と、本書は全体が連作だったのだ。
【すべてはFになる】ではないが、全てはこの終章に向けて用意されたものだったのだ。
と言い切りたいほど、見事に連鎖している。
しかし、書かれた頃に、それが意識されていたのかどうかは、解らない。
夜の床屋
2014年6月27日初版
Kindle価格:630円
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 雑誌【鉄道ジャーナル 5月号】(2025.04.24)
- 堀正岳【モレスキン 人生を入れる61の使い方】(2025.04.23)
- 西村京太郎【愛と哀しみのみちのく特急】(2025.04.21)
- 早見和真【アルプス席の母】(2025.04.19)
- 西村京太郎【十津川警部 鳴子こけし殺人事件】(2025.04.28)
コメント