廃業
先日突然出入りの電気屋さんが来られた。
『実は、9月で廃業しようと思いまして……』
『エーッ!』である。
事情を伺うと、奥様の病気が進行してきているのでとのこと。
いわゆる「街の電気屋さん」で、アルバイトを雇いながらも奥様と二人でやってこられていた。
脱サラして兄貴の店に入り、市場の店が売りに出ているのを引き受けての開業。37年経ったという。
ちょうど自分もリタイアした頃で、日常的にこの市場に出入りしていた。店の中でまだ小さい息子さんに、奥さんがご飯を食べさせておられたこともあった。
その内市場そのものが代替わりし、それを契機に外での小売店になったのだった。時期を同じくして外へ出た和菓子店も、最近店じまいしている。
息子さんには、けっきょく継いで貰えなかったのだろう。
延長保証を一つ一つの品物ではなく、その店との契約のような形をとっているので、次を引き受けてくれる店との再契約になるらしい。
ということで、延長保証に入っている家へ、一軒ずつ挨拶をかねて手続きの説明に来られたというわけだった。
まだ66歳。サラリーマンなら第二の人生というところだが、一国一城の主の自由業は定年がない。いつまでも出来る代わりに、自分で決意する必要がある。
自由業の幕引きは、むずかしい。
秋だなぁ。
| 固定リンク
コメント