吉岡幸雄【日本の色の十二カ月】
吉岡 幸雄 著
税込価格:2,484円
出版:紫紅社
ISBN:978-4-87940-611-8
発行年月::2014/05/28
利用対象:一般
伏見稲荷大社の朱塗りの鳥居、万葉集に詠われた紫の秘密…。京都で数少ない古代染めを生業とする吉岡幸雄が、一年を十二月に区切り、歳時記風に日本の染色について語る。
まず、見返しの色の美しさ。
日本の色の原点と(勝手に思っている)紫である。
それぞれの月に色をあてはめているが、「紫」は5月である。
無論、藤や杜若の紫が思い浮かぶ。
藍と紅花を掛け合わせた紫を「二藍」というそうで、その割合によって色が変化する。
紅よりも次第に藍が勝った落ち着いた紫を息子夕霧にあたえる源氏の話など、興味深い。こんな場面、あったっけ?
源氏での紫と言えば、「紫の上」で、そう言えば制裁は「葵の上」と、こちらも色がついていた。
最終章に、春日大社の「若宮おん祭り」と色の原点である「白」を持ってくるなど、心憎い演出だ。
勿論、華やかな中にも品のある「赤」や涼やかな「青」など、いくら見ていても飽きない。
色と色に挟まった文章からは、しっかりと色の知識を得られる。
著者の「よしおか工房」のサイト
「染司(そめのつかさ)よしおか」工房
ため息が出そうなはんなりとした色を見ることが出来る。
日本の色の十二カ月
2014年6月1日第1刷発行
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