松本清張【強き蟻】
松本 清張 著
税込価格:802円
出版:文藝春秋
ISBN:978-4-16-769733-4
発行年月:2013/04/26
利用対象:一般
遺産目当てに三十歳も年上の会社重役と結婚した沢田伊佐子。女盛りの肉体を武器に、奔放に生きる彼女のまわりにはまた、欲望に身を焼かれて蟻のようにうごめきまわる人々が群がってく...
未読本だった。
主人公の伊佐子というのは、清張ものによく出てくるタイプかな?
我が儘で身勝手で、どうしようもない女だ。
これに、夫である沢田信弘。
伊佐子の遊び相手、石井寛二。石井は同棲していた女が死んだことで、殺人罪の問われる。
その石井の弁護士として登場する、佐伯義男。
佐伯を紹介した、代議士の甥の塩月芳彦。塩月は、伊佐子の恋人でもあった。
伊佐子は石井が捕まって以来、塩月との関係も復活させる。そして弁護士の佐伯とも。この佐伯が、伊佐子の運命にかなり重大な関わりを持ってくる。
家には、信弘を大事に思っているお手伝いのサキがいる。
信宏が自分史を書くために口述筆記を頼みたいと言い、宮原素子という速記者がやってくる。この素子の容姿や態度については伊佐子から見たようにしか記述されていない。
一言で言えば醜女で、色気も何もない女性というところ。こちらの方が、よく出てくるタイプかもしれない。
しかし、何か重要な役割を持つことになるような予感がする。(これが当たっていた)
また、信宏の二人の娘たちも、登場する。彼女たちについても、伊佐子から見た描写しかない。
ようやく、信宏に遺書を書かせることに成功し、その内容に嬉々とする伊佐子。
信宏が三年後に亡くなることをシミュレーションして、着々とその後の設計を立てていたのだが……。
周りを翻弄させているようで、結局は翻弄されていった伊佐子。
その遺産分けのことだが、本書の妻と子ども二人の場合、妻が三分の一で子どもが三分の二と、佐伯に説明させている。
えっ?妻と子の場合は、妻が二分の一だったと思うのだが……。
何度か、テレビドラマにもなっていた。
最初のドラマでは、伊佐子役は浜木綿子。信宏が加藤嘉だろうか。
川津祐介や岡田眞澄、上村香子や奈美悦子といった名前も見えるが、どの役かは判らない。
二度目のドラマ化では、伊佐子は若村麻由美。信宏は津川雅彦と、何だか若返っているみたい。塩月を、伊武雅刀が演じている。
この夏にも、米倉涼子主演で放映されている。このニュースを見て、読んでみる気になったのかなぁ?自分でもよくわからない。
で、この時は、佐伯が高嶋政伸で塩月は宅麻伸だった。そして信宏は、橋爪功。そんな役をするようになったのだなぁ。と、変なところで感慨深い(と、大げさ)。
しかし、信宏は67歳というから、加藤嘉というのはどうなのだろう?しかし、本書でもものすごく老人みたいだ。これも、30も年下の伊佐子の目を通しての描写が多いからかもしれない。
強き蟻
Kindle・honto価格:800円
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 中山七里【能面検事の死闘】(2024.12.02)
- 11月の読書メーター(2024.12.01)
- 北村薫【中野のお父さんは謎を解くか】(2024.11.30)
- 原田ひ香【あさ酒】(2024.11.26)
コメント