鮎川哲也【黒い白鳥】
鮎川 哲也 著
税込価格:929円
出版:東京創元社
ISBN:978-4-488-40304-1
発行年月:2015/07/18(電書版)
利用対象:一般
久喜駅手前の線路沿いで屍体が見つかった。身許は東和紡績の社長、死因は銃殺と判明。疑いの目は、経営側と対立する労働組合や、金で繋がる新興宗教に向けられるが、捜査は難航する。...
文句なしに、面白かった。
時刻表を使ったトリックを、二つも挟み込むなんてスゴイ!
また、ごく最初の方に重要な伏線が張られているのも。
途中から清張の【ゼロの焦点】を思い出していたのだが、著者の「創作ノート」によれば、本書が連載されていた雑誌【宝石】には、この【零の焦点】が併載されていたのだという。
なんたる偶然!
そしてまた、【悪魔の手鞠唄】も、これの少し前に連載されていたとか。
今は無き、いろんな列車の名前が出てくる。以下、各停も含めて、その折のメモ。
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「日本海」「月光」東京~大阪(浜松に停車)
急行「出雲」 10時半~8時34分京都 5番ホーム
「阿蘇」「雲仙」「高千穂」
「雲仙」利用 折尾駅 二島(ふたじま)
香椎 → 香椎線 → 海の中道 西戸崎(さいとざき)
「あさかぜ」「平和」
上野 5時50分 → 新潟 20時4分
柏崎駅でスタンプ帳落とす
→届けたのが 越後広田を出てすぐ 16時50分頃
311列車 松野専務車掌
信越線
上越線 越後湯沢 11時2分 長岡行き729 → 長岡 12時56分 上野発 5時50分
高崎で分岐
長岡発 15時51分 大阪行き
北条駅着 16時37分
311列車 北条着 16時38分着 39分発
実際には一つ手前の 越後広田で乗換
最初に出てきた列車の機関士の思い
前日の事故
そのあと出たのが 青森行き普通列車 23時40分 117列車=屍体運搬車 東北本線は不通だったはず
池袋経由(赤羽線)
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面白かったこと、二つ。
鬼貫が九州で会った女性の言葉。
滝沢加代子の高校時代の親友が「あのですね」を連発。
ずっと昔、福岡出身の新卒がよく使っていた言葉で、懐かしかった。最近の博多人は、使わないような?
もう一つ、言葉について。
鼻濁音と無声音が、かなり重要な要素を帯びている。
「東京を一歩も出たことのないものが、鼻濁音と無声化が出来ていなかった」というところだ。
地方語というのは、アクセントだけでなく、こうした要素をも含んでいる。
ただし関西辺りまでは鼻濁音が出来るように書いてあるが、関西人は原則鼻濁音が出来ない。
都はるみのの「大阪しぐれ」の「ぐ」の音が気になると、これは首都圏から来ていた知人の話。
関東でも、群馬県人は鼻濁音が出来ないというのは意外だった。
と、直接本書とは関係ないが、色んな意味で懐かしいことを思い出させて貰った。
そうそう、もう一つ、ロシヤ民謡の「黒い瞳」も出てきた。
次は【憎悪の化石】と【黒いトランク】だなぁ。
黒い白鳥
Kindle価格:722円
honto価格:780円
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