秦建日子【推理小説】
秦 建日子 著
税込価格:637円
出版:河出書房新社
ISBN:4-309-40776-5
発行年月:2005.12
利用対象:一般
全く面識のない人々が相次いで惨殺された。事件をつなぐのは「アンフェアなのは、誰か」と書かれた本の栞のみ。そんな中、警察と主要出版社に「推理小説・上巻」という原稿が届く。書かれていたのは事件の詳細と殺人の予告…。【「TRC MARC」の商品解説】
アンフェアな月より後で読んだ本。デビュー作だという。
【推理小説】というタイトルが、しみじみ的確だったなぁと思う。
テレビドラマの原作で、そのドラマはかなりヒットしたらしい。
だが、過去と現在とが行ったり来たりしていて、その辺りをしっかり捉えないと解りにくくなる。
それと、各場面毎の展開を、ドラマではどう処理していたのだろうか。気になるところではある。
著者は劇作家でもあるということで、その効果が出ていたと思う。だが、ミステリーの場合、顔をさらす舞台での処理は難しいだろうな。
破天荒な女性刑事で、現実にはあり得ない。まぁ、堂場物の刑事たちもそうだが、かなり極端すぎ。著者を当初女性だと思ったのだが、これはやはり男性目線だ。
犯人のところへ来ていた「彼(犯人)への復讐」という言葉を、そのまま彼自身なぞったかのようで、ちょっと切ない。
冒頭近く、彼の「生きることへのこだわり」が描かれ、現実との乖離に悩みつつ犯行を重ねていったのだろうか。
雪平が他の人より早く、犯人にたどり着いたかというと、そうではないのがちょっと面白い。
ヒントを発見したのは彼女だが、その結果を見たのは他の捜査員と一緒の場面でだ。
以下、ネタバレあり。
自分で書くとそんなにたくさん書けない。しかし立場上たくさんの本を、しかも誰よりも早く読む事が出来るという幸せ。
その言葉に対する雪平の応え『自分で書けばいい』 が、一番の伏線になっている。まさにその通りのことを、彼はしていたのだった。
もう少し読んでみたい作家である。
推理小説
honto価格:540円
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