藤原伊織【雪が降る】Audible
雪が降る | |
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藤原 伊織〔著〕 出版 講談社(講談社文庫) 発売日 1999.8 定価 \630 (本体 : \600) ISBN 4-06-264615-3 bk1で詳しく見る |
「あの人は夢ばっかり見てる人だった。私も夢を見ていたのかもしれない。でも…」 男と女のそれぞれの視点から綴った心あたたまる短篇集。
「台風」「雪が降る」「銀の塩」「トマト」「紅の樹」「ダリアの夏」の六編のうちの一遍。
病院行きで、思いがけず読む(聞く)ことが出来た。
朗読は、堀英二さん。
楽しかった。
情景がよく浮かんでくる。高橋の息子の姿を想像してみる。澄んだ瞳の、17歳の少年。
しかし、女性の声はちょっと違和感があった。
紙本については、藤原伊織【雪が降る】を書いている。
その時も、
同期でライバル高橋の息子の描写がよい。とも、書いている。
つかの間、メルヘンチックな気分になれる作品。
今回の方が、よりじっくりと「読んだ」ような気がする。
息子に問いかけられて、「雪が降る」過去へと辿る道筋。切ない。
『今度もし、あなたに会えたら』『あなたに会うのは、雪が降ったとき』
『ううん、きっと降る』
『絶対に、雪は降る』
『あなたがやってくるかどうか、それをかけるの』
夕方5時に都心に雪が降ったら……
雪は降る あなたは来ない
次に雪が降った日。彼は約束を守る。
彼女は来なかった。スリップ事故で、亡くなったのだった。
事実を聞いた少年は……。
『僕の方こそ、誤らなければなりませんね』
『殺したという言葉を、メールで使いました』
『会って良かった』
未発信のメールに書かれていたのは……。
『これから、私は横浜に行きます。』
『4年前、母からあなたに充てたメールです。』
『僕は、母を大好きでした。』
最後は辛い。
だが、希望は持てるか?
君のお父さんを友人に持ったことを、私は誇りに思う。志村から高橋の息子に充てた、未発信のメール。
希望は持てる。この少年の未来に、幸あれ!
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