吉村夜【くちなわ剣風帖】
くちなわ剣風帖書下し時代小説 1 蝦蟇と大蛇
吉村 夜 著
税込価格:626円
出版:KADOKAWA
ISBN:978-4-04-070393-0
発行年月:2015/01/10
利用対象:一般
顔は不細工だが心は錦の腕利き同心・釜口右衛門は、悪徳与力から真剣試合の出場者として凄腕の人斬りを捜せとの無理難題を押しつけられる。暗黒街のつてを頼って、釜口は美貌の剣鬼・朽縄真蔵と出会い…。【「TRC MARC」の商品解説】
タイトルで引いてしまって、なかなか読む気になれなかった。
表紙カバーにも、「蝦蟇と大蛇」という文字が躍る。
だが、(やむを得ず)読んで見ると、結構面白かった。
テーマは、ずばり「金」。舞台は拝金主義がまかり通る江戸。
何だか現代にもそっくりそのまま通じるような話である。
釜口自身も、商人からたくさんの付け届けを貰っている。それは自分で使うのではなく、配下にばらまいて彼らが町人たちにたからなくてもいい仕事が出来るようにするためだと割り切っている。
一方の朽縄は、金のためだけに人殺しをする。
最後に朽縄が大金を手に入れたとき、釜口は彼がその金をどう使うのか興味を持つ。
そして600両という大金は、思わぬ処で活用されるのだった。
八丁堀の中で、釜口が信頼しているのが、同じ同心の小堀と杉山。
釜口配下の岡っ引きで、闇の世界に生きる茂平から紹介された佐吉。茂平は、朽縄を紹介してくれてもいる。
こうした面々と、いわゆる「上つ方」として表面には出てこない人びと。その「上つ方」をある意味利用している悪徳与力。
朽縄の行動の元を見届けたとき、佐吉から声をかけられてビックリする釜口。
だが、佐吉にも内緒だと思っていた行動は、実は彼にはお見通しだったのだ。役人より庶民の方が解っているという理解は、穿ちすぎかな?
最後の場面が、釜口たちでなく「上つ方」であるのが、一つの趣向か?
続編【くちなわ剣風帖 (二) 鯰の鳴動】では、この二人が手を携えて悪を切る話のようだが、さてどうしようかな?
くちなわ剣風帖
平成27年1月20日 初版発行
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