碧野圭【菜の花食堂のささやかな事件簿】
碧野 圭 著
税込価格:702円
出版:大和書房
ISBN:978-4-479-30580-4
発行年月:2016/02/10
利用対象:一般
菜の花食堂の料理教室は今日も大盛況。オーナーの靖子先生が優希たちに教えてくれるのは、美味しい料理のレシピだけじゃなく、ささやかな謎の答えと傷ついた体と心の癒し方…? やさしい日常ミステリー。【「TRC MARC」の商品解説】
この料理教室へ通ってくる人たちを、一話ずつ取りあげている。
菜の花食堂の主で、料理教室の先生下河辺靖子が安楽椅子探偵(座りっぱなしではないが)で、料理教室の助手を務める館林優希がワトソン役か。
第1話の【はちみつはささやく】は、隠し味がヒント。
本音で語り合えない恋人たちを、靖子先生はうまく導く
第2話【茄子は覚えている】は、黒一点杉本の家庭を取りあげる。
この人の妻のような独立した女性が、夫の茄子嫌いを直してくれた。きっと、二人の関係もうまく修復出来るだろう。
語り手である優希の体験を描いた三番目の【ケーキに罪はない】が、一番辛い話だったかもしれない。
これと、第5話にあたる【ゴボウは主張する】に出てくる悪意のある女性の描き方が少々辛辣すぎる。
ここまで嫌な女って、そういないと思うが。もっとも第5話は「悪意がある」とまではいかない。いいように利用されている優柔不断の八木の態度が、そうした身勝手をさそっているのかもしれないが。
若い人が多い中で、ベテラン主婦50代の村田を主人公にした第4話は【小豆は知っている】。
いい息子たちを持って、彼女は幸せだ。
そして最後は、少々謎を秘めた存在だった靖子先生の話。
これまで登場した5人が、総動員される。
それぞれの話の中で浮き彫りになった各自の得意分野を活かして、しっかり留守を守るだろう。
もっとも、たった三日間だが。
各話に出てくるレシピが楽しい。
決して凝った料理ではない。その日の「おかず」に即役立つような(京都風に言うと)「おばんざい」だ。
一つ、ゴボウの柳川風で、ドジョウの代わりに肉を使うのだが、それが豚肉だったのが関東かなと思った。
菜の花食堂のささやかな事件簿
2016年2月15日第1刷発行
2016年4月10日第6刷発行
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