道尾秀介【鬼の跫音】
道尾 秀介 著
税込価格:555円
出版:角川書店
ISBN:978-4-04-100012-0
発行年月:2011.11
利用対象:一般
刑務所で作られた椅子に奇妙な文章が彫られていた。家族を惨殺した猟奇殺人犯が残した不可解な単語は哀しい事件の真相を示しており…(「〓(ケモノ)」)。同級生のひどい攻撃に怯えて毎日を送る僕は、ある女の人と出会う。彼女が持つ、何でも中に入れられる不思議なキャンバス。僕はその中に恐怖心を取って欲しいと頼むが…(「悪意の顔」)。心の「鬼」に捕らわれた男女が迎える予想外の終局とは。驚愕必至の衝撃作。【「BOOK」データベースの商品解説】
収録作は六つ
よくあるそれぞれが微妙にリンクしているのではなく、独立している。
冒頭の【鈴虫】
屍体を埋めた穴の中に自分の学生証を入れたのは、発見されたときに特定されるためにだろう。
だが、「ボク」の鈴虫に対する怯えが出た時も、警察に参考人として連れて行かれたときも、妻はどういう反応をしたのだろうか?
【けもの】(けものへんだけで出来ている字)は、まさに「後悔先に立たず」を地でいったような話。もっとも「ぼく」は、後悔などしていないだろう。
子どもがずっと認められないまま育ったらどうなるか、親や教師はチラッとでも考えてみればいい。
【】は、まさに谷崎の【春琴抄】だ。
現在から一日ずつ遡っていく日記形式で書かれている。
「じっと見慣れているのには慣れている」というのは、美しいからだと思わせておいて……。
最後の【悪意の顔】も、怖かった。
執拗ないじめの様子も怖いが、それ以上にこんな教師がいるのかと呆れてしまう。
宮部みゆき【負の方程式】(16.06.06)に出てきた教師もひどかったが、こちらも負けず劣らず(?)といったところ。
どの短編にも、ずっと大きなカラスが出てくる。
カラスは不気味なものの例えとしてよく使われるが、本書でも例外ではない。
鬼の跫音
Kindle価格:
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 11月の読書メーター(2023.12.01)
コメント