三浦しをん【政と源】
三浦 しをん 著
税込価格: 637円
出版 : 集英社
ISBN :978-4-08-680135-5
発行年月 :2017/06/22
利用対象 : 一般
東京都墨田区Y町。つまみ簪職人・源二郎の弟子、徹平の様子がおかしい。どうやら昔の不良仲間にゆすられたらしい。それを知った源二郎は、幼なじみの国政とともにひと肌脱ぐことにするが−。【「TRC MARC」の商品解説】
タイトルからして時代物かと思ったのだが、東京下町の話だった。
冒頭「」は、まずは登場人物紹介。
一流大学を出て銀行に就職し、リタイアした途端妻は娘のところへ去ってしまった、有田国政。
小学校を出てすぐつまみ簪職人になった、堀源二郎。
70歳を過ぎても、何故このふたりは仲が良いのか。
この二人に、源の弟子の吉岡徹平とその恋人美容師マミが絡む。
舞台は東京墨田区。
源は、空襲で母や弟妹、家を亡くしている。夢でうなされているのを、泊まった政は目撃する。
徹平がチンピラだった頃の仲間がやってきて、政と源が追い払ったり、なかなか勇ましい出だしである。
「幼なじみ無線」
幼なじみというのは、無線で繋がっているのか。
政が突然ぎっくり腰になったのを、源が訪ねてきて発見。「無線」が通じたのか。
介抱のため泊まり込んでくれるのが、有りがたくもありやや迷惑でもあり。
徹平に慕われる源をうらやんで嫉妬する政がかわいい。
この政は、内館牧子【終わった人】と同じように大学を出て銀行に就職し、がむしゃらに働いてきた。
妻に愛想づかしをされて一人暮らしだ。
しかし彼には、友だちがいる。
「終わった人」でも、結局は故郷の高校時代の同級生に救われる。
「象を見た日」
徹平は昔チンピラだった名残か、かなり派手な格好をしている。
言葉遣いは丁寧だし、その描写があるまで普通(?)の服装かと思っていた。
それはともかく、まだ20歳なのに恋人のマミの家へ結婚したいと言いにいって、父親からぼろくそに言われる。
認めて貰うにはちゃんと仕事が出来ることを示さねばならない。
師匠から習った簪だけでなく、自分がデザインしたアクセサリーを作ることで、少し自信を持つようになるが。
各短編とも、東京下町の庶民の哀感が描かれていて楽しい。
最後の、政と妻とのやりとりもしんみりとさせてくれた。
政と源
Kindle価格:594円
honto価格:594円
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