戸板康二【グリーン車の子供】
戸板 康二 著
税込価格: 1,620円
出版 : 東京創元社
ISBN : 978-4-488-45802-7
発行年月 : 2007.4
利用対象 : 一般
7年ぶりに「盛綱陣屋」への出演依頼を受けた中村雅楽。しかし、子役の演技が気になる雅楽は、なかなか出演を承諾しない。そんな折、大阪で法要に出席した雅楽と竹野記者は、帰京する新幹線で一人の少女と出会う。東京駅に着く間際に、雅楽が「陣屋」への出演を決めた訳は—。【「BOOK」データベースの商品解説】より
【鉄道ミステリーの系譜】(17.08.11)で紹介されていて、気になっていた。
第29回日本推理作家協会賞の受賞作である。
この中村雅楽ものは、初めてではない。アンソロジーで、何編かは読んでいる。
いやー、面白かった。鉄道ミステリーとは言えないと思うが……。
「こだま」で新大阪から東京まで行く道中の話で、ビュッフェもある。何より、グリーン車が満席になっているのが、興味深かった。
新大阪発10時2分で名古屋発11時24分というのも、何だか懐かしい。東京まで、4時間かかっている。
それはともかく、雅楽が『「盛綱陣屋」に出ることにしましたよ』と言ったとき、あっと思った。雅楽も反省(?)しているが、もっと早く、新幹線のおもちゃあたりでも判る話かもしれない。
もっとも、座席指定券を受け取った段階で、ちょっと違和感はあったのだが。
そして雅楽が子どもにこれからのことを話したとき、思わずもらい泣きしそうになった。
おそらくいつもは事件解決にだけ携わっているのであろう雅楽が、本編では当事者であるというのも、ちょっとした趣向かもしれない。
【グリーン車の子供】と題された本書は、全18編もあるかなり分厚い本である。Kindle版は出ていないようで、図書館の本だがかなり綺麗だ。しかし、全部読み通すのは無理かも。
このあと、
【隣家の消息】を読んだ。
グリーン車の子供
2007年4月27日初版
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