伊集院静【東京クルージング】
伊集院 静 著
税込価格: 1,728円
出版 : KADOKAWA
ISBN : 978-4-04-103265-7
発行年月 : 2017/02/03
利用対象 : 一般
紹介文ドキュメンタリー番組で出逢った青年に強く惹きつけられた作家の私。だが、彼には病魔が迫っており、さらに彼には決して忘れられない女性がいて…。学芸通信社の配信により『信濃毎日新聞』等に掲載されたものを書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
どうして本書を選んだのかまったく覚えていない状態で、まさに真っ白な状態で読んだ本。
冒頭いきなり松井秀喜登場で、ビックリ。
話が進んでいくと、どうやら天下のNHZが半年間かけて松井を取材することになったらしい。
その番組のディレクターが、作家の伊地知に協力を仰ぎ、ニューヨークまでやってきた。
初対面の松井と三阪の会話が楽しい。
三人は摩天楼に登って……
と、物語は進んでいく。
著者ご自身野球をなさっていたようで、出身は長島に勧められた立教大学だとか。
伊地知が仙台在住というのも、著者と同じだ。
タイトルがどうして「東京クルージング」なのかというのは、次第に明かされていく。
伊地知と三阪は仕事が終わってからも意気投合し、時折出会って食事をしたりする。
その中で、三阪は突然いなくなった恋人のことなども語る。
そのうち三阪は病気になり、敢えなくなくなってしまう。
その彼からの誕生日プレゼントを目にし、彼の恋人が口ずさんでいたという「鳥の歌」を聞いている内に、伊地知は海辺にいる母と娘の幻影を見るようになる。
また、スペインの「黒いマリア像」のことや、その奇跡についても思い出す。
第二部では、どうやら伊地知が幻覚で見ていた母娘が登場する。
その母親の方は、三阪の恋人だった女性のようだ。
この二人の生き方があまりにも過酷で、辛くなる。
娘の方は野球が好きで、松井秀喜のファンでもある。
母親はクリスチャンで、母の形見のロザリオを持っている。
伊地知の義父に奇跡をもたらしたロザリオと同じものだろうか?それならば、もっと救いがあっていいはずなのに。
一方伊地知は、彼女を探しに行こうとするのだが……。
伊集院静というと夏目雅子とのことしか知らなくて、著作も殆ど読んでいない。
多分唯一【機関車先生】というのは読んでいて、これは切なかったな。
東京クルージング
2017年2月3日初版発行
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