小川糸【あつあつを召し上がれ】
小川 糸 著
税込価格: 432円
出版 : 新潮社
ISBN : 978-4-10-138341-5
発行年月 : 2014/04/30
利用対象 : 一般
10年以上つきあった恋人との、能登へのお別れ旅行で味わった最高の朝食。今は亡き母から伝授された、おいしいみそ汁のつくり方…。【「TRC MARC」の商品解説】より
いつ買ったのか記憶にないが、なぜか出てきた本。
「食卓をめぐる7つの感動の物語」と紹介文にあったが、その通り食事に関する話ばかり。
「あつあつを召し上がれ」というタイトルからは、ひたすらおいしい食の話が続くのかと思ったが、そうではなかった。
「人生を描いた本」というと言い過ぎかもしれないが……。
毎朝父のために味噌汁を作り続けた呼春(こはる)は、結婚式の朝も父と二人で味噌汁の食卓を囲む。
【こーちゃんのお味噌汁】は、そのこーちゃんこと呼春が、父への詫びを口にする。
自分が生まれなかったら、乳がんの母はもっと長生きできたのでなかったかと。
呼春のためというより、妻との約束のために、出世に目もくれず定時に帰ってきてくれていた父。
登場人物は、この二人だけ。
【親父のぶたばら飯】がよかった。
中華街一汚い料理店って、どこだろう?
その店に幼い頃から通っていた男性は、同伴した同僚である恋人に、ここで求婚する。
本当においしそうに、出てくる料理を食べる恋人。
結婚の条件は、食べ物を残さないことだった。
イチ押しは【いとしのハートコロリット】
老女の独白で、物語が進む。
何かの記念日なので、彼女は現実が判らなくなっているつれあいと一緒に、坂の下のパーラーへ行く。
しかしパーラーの様子は昔と違って、ウエイトレスがいたり、ボーイも品がない。
それでも何とか注文して食事をはじめようとしていると、血相を変えた女性が現れる。
この女性の描き方が通常ではないのだが、それは老女に写った嫁の姿なのか、それともそこまで取り乱しているのか。
怖い話である。
冒頭の【バーバのかき氷】
こればかりは、「あつあつ」というわけにはいかない。
殆どしゃべれず、食べ物も口にしない祖母が言った一言『ふー』。
それが富士山の形をしたかき氷だと気づいた孫のマユは、以前一家で食べたかき氷屋さんまで走る。
【ボルクの晩餐】は、今ひとつだった。出てくる料理はおいしそうだったが。
紹介文にある【さよなら松茸】は、行ってみたい旅館だなぁと思う。どこだろう?
かなり重たい話が多く、読後感スッキリとはいかなかった。
その中では、【親父のぶたばら飯】が楽しかったかな。
あつあつを召し上がれ
平成26年5月1日発行
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