滝口悠生【高架線】
滝口 悠生 著
税込価格: 1,728円
出版 : 講談社
ISBN : 978-4-06-220759-1
発行年月 : 2017/09/28
利用対象 : 一般
風呂トイレつき、駅から5分で家賃3万円。古アパート・かたばみ荘では、出るときに次の入居者を自分で探してくることになっていた。部屋を引き継いだ住人がある日失踪して…。人々の記憶と語りで綴られていく16年間の物語。(「BOOK」データベースより)
単行本が出たときは、Kindle版価格もそれなりに高い。だから文庫化されるのを待つことが多いのだが、今回は悩んだ末に購入した本。
読後感がいいというレビューを読んだから、なのだが……。
ある程度の量、一人が語って物語を構成していく。
最初の登場人物新井田は 、郊外から東京へ急行で通っていて、あるとき各停しか停まらない駅近くの「かたばみ荘」に入居する。
就職して多少家賃が高いところに引っ越ししてから、次の住人三郎が失踪したあたりまでを彼が語る。
次は、三郎が引っ越してきたときに車を出してくれた三郎の友人で、歩(あゆみ)という。
三郎とは高校まで同級だったこともあり、1年浪人して東京の大学に入った三郎と再会する。
その三郎が、姿を消した。
新井田も歩も、それまでのことを思い出しながら探そうとするが、手がかりはない。
自分で話しているように、彼の話し方はのんびりというかダラダラしていて、肝心の要点がなかなか出てこない。
しかしそれは他の登場人物も同じで、歩の恋人も思いつくままに語り続けているという感じ。
三郎が見つかり、姿を消した理由もわかったが、彼女はただ三郎の言うことを鵜呑みにせず、むしろ店長の立場に立った考え方が出来るのだった。
三郎の次に「かたばみ荘」に入居したのは、故郷をわけありで出てきた、峠茶太郎。面白い名前だが、追われているので偽名だ。
彼も又、これまでのことや今のことを、ツラツラと語っていく。
この峠茶太郎が、2011年3月11日の地震を体験する。
そのあと学生時代から喫茶店でアルバイトをしていて卒業後も店長になった目見(マミ)も、小説家と名乗ってフラッとこの町に現れた日暮も、ツラツラと語って行くだけで、そういう小説だとしたら、それもありか。
その間に「蒲田行進曲」の話が全部語られたり、映画見なくてもわかったような気になれた。
とか書いているこれ(この文章)も、またツラツラだなぁと思いながら、それでも止められずに最後まで読んだ。
東京の交通系をもっとよく知っていたら、もう少し楽しめたのかもしれない。
同じような感じで大阪が舞台だったら、きっとノリノリになれただろう。
高架線
Kindle版価格:1,404円
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 堀正岳【モレスキン 人生を入れる61の使い方】(2025.04.23)
- 西村京太郎【愛と哀しみのみちのく特急】(2025.04.21)
- 早見和真【アルプス席の母】(2025.04.19)
- トラベラーズカンパニー【トラベラーズノート オフィシャルガイド】(2025.04.17)
コメント