坂木司【先生と僕】
坂木 司 著
税込価格: 617円
出版 : 双葉社
ISBN : 978-4-575-51472-8
発行年月 : 2011.12
利用対象 : 一般
都会の猫は推理好き。田舎のネズミは…?—ひょんなことから大学の推理小説研究会に入ったこわがりな僕は、これまたひょんなことからミステリ大好きの先生と知り合う。【「BOOK」データベースの商品解説】より
僕を田舎のネズミに模し、先生というのは、僕が関わることになった中学生。彼の動きはしなやかで、都会の猫というわけか。
下手すれば非常にキザで嫌な感じの中学生になるところを、坂木さんにかかると愛らしい中学生になっている。
久しぶりの坂木作品だが、日常のちょっとした謎を解いていく手法は変わらない。
本書では、それに加えて古今東西のミステリを順に紹介していくというもので、それも楽しみ。
収録作は
【先生と僕】
【消えた歌声】
【逃げ水のいるプール】
【額縁の裏】
【見えない盗品】
表題作【先生と僕】では、地方から上京してきた僕、伊藤二葉が大学に入り、中学生瀬川隼人の家庭教師になるところから始まる。春、4月。
家庭教師とはいっても、実際は隼人は勉強が良く出来る。だが心配している母を安心させる(欺く?)ために家庭教師を頼むことになったのだ。
この出会いで、大学での初めての友人山田順次に誘われて入った推理研でも何とかなるかもしれない。「先生」というのは家庭教師をしている中学生、隼人君のことだ。
ここでは乱歩の【天井を歩く】を紹介。
事件の方は、本屋での万引きを扱った、少々悲しい物語。
次の【消えた歌声】では、友人山田が酔いつぶれて、わけを聞くと彼女にカラオケのレパートリーが少ないからと振られたのだという。
僕は言えば、カラオケよりはと、5月の晴天のある日、隼人君と漫画喫茶へ行く。
ビルの最上階、天井が硝子張りのサンルームで、観葉植物も置いてある場所。こんなところだったら、気持ちよく過ごせるというもの。
本題はカラオケ店で先の【先生と僕】で出会い、そこでの不思議の謎解き。
ここでのお勧めは、【シャーロックの叡智】。
続いての【逃げ水のいるプール】は、まさに犯罪を扱っている。それも卑怯な。
夏休みのプールが舞台。
最近の公共プールは、随分設備がいいようだ。
そして夏休みの宿題とされたのは、アシモフ【黒後家蜘蛛の会】五巻。推理研の合宿では各々読んだ本について語る必要があるそうだから、ちょうどいいらしい。
これは1冊か2冊、読んだことがある。
【額縁の裏】では、詐欺というか、勧誘を扱っている。この手のお誘いは、怖いなぁ。
お勧めのドナルド・E・ウェストレイク【天から降ってきた泥棒】とは、関係あるのだろうか?未読品。
【見えない盗品】
だんだん本格的な犯罪になってくる。
ペットショップはない方がいいという僕(二葉)の考えに、激しく同意。
卒業論文(用)にと進められたのは、【六の宮の姫君】。北村薫だっけ?北村作品は、あまり読んでいない。
特別便として
【ホリデーとホテルと僕】では、なんと【配達あかずきん】がお勧めだった。
このシリーズ、全部は読み切っていないが。
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【シンデレラ・ティース】(13.02.27)
【先生と僕】(18.01.30)
【ホテルジューシー】(14.04.18)
【ワーキング・ホリデー】(13.01.30)
先生と僕
Kindle版価格:497円
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