【現代華文推理系列第二集】
冷言 (著),
鶏丁 (著),
江離 (著),
陳浩基 (著),
稲村文吾 (翻訳)
単独でも販売中の四作の華文ミステリ短篇、冷言「風に吹かれた死体」、鶏丁「憎悪の鎚」、江離「愚者たちの盛宴」、陳浩基「見えないX」の合本版。
見えないXを読んで面白かったので、本書を読んでみようと思ったもの。
しかし、【風に吹かれた死体】は気持ちが悪くなり、早々に読むのを止めた。
【憎悪の槌】
これは、面白かった。
最後に大どんでん返しが待っていた。そこで初めて、タイトルの意味が判った。
大学を出て兄の世話になっている僕は、不動産屋に無事就職することが出来た。
兄は警察官で、ミステリ好きの弟に、事件の話を色々してくれる。
今回は、連続密室事件だ。
実際に刑事が家族とは言え他者に事件の話をするかどうか疑問だし、捜査の秘密を漏らすことはけしからんと思うが。
その就職先で、同僚が殺される。連続密室事件の第三の犠牲になったのか。
僕はなにかと眼をかけてくれる支店長に、兄の素性と事件の話をする。これはもっとけしからんと思うが。
幾つか伏線は張られていて、注意深く読めば気づくはずのところもあるのだが、お見事!
しかし犯人は二人も殺害しながら、復習は遂げられなかったのか。
【悪者たちの盛宴】
これはちょっとしたドタバタ劇だった。
あらゆる手を使って(恩人をも裏切って)材をなした男と、その妻・娘。
男のせいで仕事を失った女と、その夫(タクシーの運転手)・娘。
娘同士は同級生で仲がいい。
そこにカメラマン助手が加わって、富豪の娘の誘拐劇がはじまる。
お互い顔を合わせているのだが、直接の知り合いでないため気がつかない。
富豪の娘はタクシーに乗り、親友の父親とは知らずにいい人だと思う。
カメラマン助手はタクシー運転手の娘を富豪の娘と勘違いする。
彼は、富豪から誘拐の金を取りに行くのに、そのタクシーを使っている。
更に彼が車に置き忘れた富豪の娘のiPhoneを使って、運転手は金儲けをおもいつく。
そこに、密かに復習の時を狙っていた過去の恩人も動き出す。
しかし事態は思いもかけない方向へ進み、悪は勝ち、弱者は滅びるのだった。
話の展開は非常に面白かったのに、後味が良くなかったのは残念。
現代華文推理系列第二集
Kindle版価格:500円
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