有栖川有栖【長い廊下がある家】
有栖川 有栖 著
税込価格: 617円
出版 : 光文社
ISBN : 978-4-334-76591-0
発行年月 : 2013/07/10
利用対象 : 一般
廃村に迷い込み、辿り着いた“幽霊の出る”家。そこには、隣の家と地下で繫がる長い長い廊下があった…。【「TRC MARC」の商品解説】より
中編の表題作の他、収録作品は
【雪と金婚式】と【天空の眼】【ロジカル・デスゲーム】の三つの中短篇。
【長い廊下がある家】
これは、完全にクイーンのパクリではないか。
詳細は忘れたが、夜が明けて外から家を見た主人公の驚いている挿絵は覚えている。
たしか、その家にたどり着くまでに、あちこち引き回されたのではなかったか。
そのタイトルも、何という作品(短編集)にあったものかも、思い出せない。
仕方ないから、カーの短篇を根気よく読み直すことにするかな。
【雪と金婚式】
これは良かった。
雄二と安曇は、金婚式を迎えた夫婦。
雄二は学習塾を経営していて、まずは穏やかな晩年を迎えている。
気がかりは安曇の妹の夫だった(妹は亡くなっている)、重森の存在だ。
学生相手に詐欺を働いて、警察に捕まったこともある。落ちぶれて頼ってきた彼を、雄二の温情で離れに置いているのだ。
その重森が殺された。
金婚式の夜降った雪が関係してくるのだが……。
雄二の、若者への温かい気持ちと「雪は降る」のメロディーがあいまって、いい効果を生み出している。
【天空の眼】は、珍しく有栖一人で事件を解決する話。
有栖のご近所に住む女子校の先生が、教え子がおびえていると相談してくる。
心霊写真を撮ったらしいというのだが、その関係者が殺され、教え子の同級生に殺人の疑いがかかる。
有栖が小説ネタとして考えたことが瓢箪から駒になり、さらに旅行中に真相に迫るという話。
最後の【ロジカル・デスゲーム】では、火村あやうし!
ストーカーのような千舟に連れられて行った家で、火村はデスゲームをやらされる。
必至で頭を回転させ、どうやって彼は窮地を脱したか。
そのゲームを、書いてみる。
赤・青・緑の三色のグラスの中の一つには、毒が入っている。
その中の一つを火村が取り、千舟は毒の入っていないグラスを取る。
もう一つのグラスと代えてもいいと、扇動する千舟。
千舟に背を向けて貰った10秒間に、火村がしたことは……。
自分は絶対安心だと思っていた千舟の狼狽を、火村は見逃さなかった。
長い廊下がある家
Kindle版価格:594円
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