樋口有介【木野塚探偵事務所だ】
樋口 有介 著
税込価格: 540円
出版 : 東京創元社
ISBN : 978-4-488-45910-9
発行年月 : 2008.3
利用対象 : 一般
経理課一筋37年で警視庁を定年退職した木野塚氏は、ハードボイルド探偵に憧れ探偵事務所を開設する。しかし、依頼どころかグラマーな美人秘書もやってこない。【「BOOK」データベースの商品解説】より
一人力んでいる様は、笑いというより失笑を買うような。
しかし、それなりに楽しくはあった。
ちょっと星新一氏の書き方を想起させるが。
木野塚氏は、警視庁を勤め上げて定年を迎えた。そのキャリアを活かして選んだ仕事が、探偵業。
【名探偵誕生】では、その辺の事情を描く。
美人の秘書を雇う予定が、やってきたのは男の子かと思わせるギャル、桃世。
そして初めて来た仕事は、誘拐事件……。
【木野塚氏誘拐事件を解決する】では……。
しかしこんな仕事ばかりでは、誰でも意気消沈するだろうな。
木野塚氏はまた妄想するクセもあり、
【男はみんな恋をする】で、可愛い子に恋した「息子」を持つ母親を助ける。
【菊花刺殺事件】では、被害者(?)は何と菊の花。
菊を愛する老人の、近所の若い母親に寄せるほのかな想いと、長年月仕えた主に認められず、負の方向に行ってしまう女性の悲劇。
しかしいずれも、解決に導いたのは桃代だった。
それでも木野塚氏は、「今自分もそう思った」などとうそぶく。あくまでも、フィリップ・マーロウを気取りたいのだ。潔くない。
最後は、【木野塚氏初恋の思い出に慟哭する】。
思い出は、思い出だから美しいのかも。
若葉も時がたてば枯葉になる。きれいな花もいつかは生ゴミになる。これが現実なのだった。 人生、無情!
ここでの仰天は、桃世のこと。
結局、木野塚探偵事務所での彼女は、何だったんだろう。
そして、桃世はなぜ木野塚探偵事務所に現れたのだろうか?
ま、全編これハードボイルドを気取ってはいても、しがない定年後の初老男。それがおかしいやら、呆れるやらだった。
木野塚探偵事務所だ
Kindle版価格:199円
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