【僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう】
山中伸弥・羽生善治・是枝裕和・山極壽一・永田和宏 著
税込価格: 756円
出版 : 文藝春秋
ISBN : 978-4-16-661118-8
発行年月 : 2017/02/17
利用対象 : 一般
どんな偉大な人にも、悩み、失敗を重ねた挫折の時があった。彼らの背中を押してチャレンジさせたものは何だったのか。山中伸弥、羽生善治らの講演と対談を収録する。京都産業大学の講演会を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
京都産業大学五十周年行事として、学生たちに先人が送る話。
4人の方それぞれ、お話しも永田先生との対談も面白かった。
永田先生は歌人であり、河野裕子さんの夫である。一方で大學の先生でいらっしゃるというのは、実は本書を読む少し前に知ったのだった。
永田先生は、現代の若者が「誰かに憧れる」といったことが少なくなったような気がすると仰る。偉い人たちは多くいるが、そのような存在は自分たちとは縁がないと思っているのではないか。
そうではなく、あんな偉い人でも、なんだ自分と同じじゃないかということを感じとってほしいというのが、この周年行事での「マイ・チャレンジ」という企画の意図であるというのだ。
本書が出版された頃は、まだ山中先生は昨今の苦境に陥ってはおられなかったし、羽生さんと藤井君の対戦はまだ先だと思われていた。
山中先生がアメリカと日本の違いについて語られたところは、特に印象的だった。
日本では、こんな風に有能な人を潰していくんだな。
山中先生は、20歳前後は何にも代えられない宝物みたいな時間だと仰る。何もしないのだけは、やめてほしい。どんなことでもいいから、「あのときはこんなことに夢中になっていたな」というのあったなら、それでうまく行こうが行くまいが、絶対自分自身の成長につながっていくと。
ご自身は、ラグビーに打ち込んでいらっしゃったようだ。
一方羽生さんは、中学生棋士として早くから注目されてきた。対戦を終えて早朝帰るとき、これから通学・出勤する人たちと反対を向いて帰るのが寂しかったとも。
また違う話では、迷子になりながら何とか目的地にたどり着く楽しみについても語っておられた。
そして、将棋は多分に日本的な歴史・文化を含んでいるので、言葉と密接な関係があるのではとも仰っていた。
許された範囲(テニスではコートから出てもいけないしネットに引っかかってしまってもいけない、コートに入りきる力)のロジック、形の美しさについてなど、愉しい話だった。
次の是枝氏と山際総長のお話も、それぞれ面白かった。
『だれも知らない』と『そして父になる』は、絶対見よう!
僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう Kindle版価格:750円
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