多岐川恭【私の愛した悪党】
多岐川 恭 著
税込価格: 389円
出版 : 講談社
ISBN : 978-4-06-183587-0
発行年月 : 1985.9
利用対象 : 一般
物語は大きく二部仕立てになっていて、第一部はプロローグとエピローグが。第二部は、そのプロローグとエピローグの間の話になる。
まずプロローグでは、赤ん坊の誘拐がある。
身代金を要求するのだが、警察が張り込んでいたので、結局犯人は現れない。
そして犯人側からの描写もある。
二人組と、その近くに住んでいる男。
だが赤ん坊は、ある日突然姿を消してしまう。
エピローグは戦後になっている。
ある日、被害者だった作家の元へ誘拐されたままだった娘が帰ってくるという話。
候補は三人いて、その内の一人が本物だったという設定だ。
そして第二部は、エピローグの少し前あたりか。
父と一緒に下町で中華料理店とアパートを経営しているノユリの語りで進行していく。
店子は、いずれもわけありげな人物たち。
ここに父親の昔なじみだった父子と、親に死なれた兄妹もやってくる。
ノユリが赤ん坊を誘拐された当の作家の家にお手伝いに行ったり、そこの息子が登場したり。
また作家の家には、うさんくさい人物も訪ねてきたりする。
息子は危なげな集団に近づいたりしている。
そんな中で、三人の父親の内残っていた二人(ノユリと店子の父子の父親の方)が殺される。
といった事件を挟んで、作家の子どもは誰だったのかが、ちょっとしたドタバタの中で明らかになっていく。
決め手は、血液型なのだが、作家の意図でミスリードもある。
殺人がありながらも、何となくホノボノとした物語だった。
私の愛した悪党
Kindle版価格:486円
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