門井慶喜【ホテル・コンシェルジュ】
門井 慶喜 著
税込価格: 756円
出版 : 文藝春秋
ISBN : 978-4-16-790467-8
発行年月 : 2015/10/09
利用対象 : 一般
大規模ではないけれど、お客様にきわめて上質な時間を提供していると評判の「ホテルポラリス京都」では、ベテランコンシェルジュの九鬼銀平が、持ち込まれる難題を次々に解決していく…。【「TRC MARC」の商品解説】より
収録作品は
【みだらな仏像】
【共産主義的自由競争】
【女たちのビフォーアフター】
【宿泊客ではないけれど】
【マダムス・ファミリー】
の5篇
このホテルのフロント係の麻奈は、九鬼のようなすぐれたコンシェルジュになりたいと思っている。
スイートルームに泊まって大学に通っている桜小路清長は、宿泊費を提供してくれている叔母あき子に頭が上がらない。
この叔母の家には、過去に駆け落ちをして勘当されたあき子の夫の姉が、独り身になって身を寄せている。
姉に対するあき子の態度は、露骨に厄介者扱いである。
その姉のもっている「仏像」が盗まれた。
九鬼は麻奈を通して、事件を解決する。
実はあき子が隠したのだが、それをヤエは判っている風であった。
あき子が「みだらな仏像」と表したものは、実はオスカーのレプリカで、亡夫が作った形見の品だったのだ。しかしアカデミー賞のことも理解できないあき子に対しては、ヤエは黙って盗まれたことにしていた。
あき子は自分が犯人であるのに、麻奈を犯人に仕立てて謝らせ、事件を収めようとする。
テンポがよく、最初は楽しく読めた。
しかしこのあき子のあまりにも権柄尽くな態度が毎回繰り返されると、辟易してくる。
それでも、【女たちのビフォーアフター】では寝屋川の地名が出てきたり、京橋が登場したりする。
寝屋川を犯罪の町のように表現するのは、いかがかと思うが。
冒頭の【みだらな仏像】と、次の【共産主義的自由競争】は面白かった。
この店主の出身大学は麻奈の出身校であり、清長が通っている。同志社だと思われる。(キャンパスが移る前)
ホテル・コンシェルジュ
Kindle版価格:720円
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