内田康夫【本因坊殺人事件】
内田 康夫 著
税込価格: 518円
出版 : 角川書店
ISBN : 4-04-160702-7
発行年月 : 1985.4
利用対象 : 一般
宮城県鳴子温泉で高村本因坊と若手浦上八段との間で争われた【天棋戦」。高村はタイトルを失い、翌日荒雄湖で水死体で発見された。観戦記者・近江と天才棋士・浦上が謎の殺人に挑む。
浅見光彦ものではない。
また、信濃のコロンボや警視庁の刑事の活躍でもない。
長編としては二番目と言うことで、これまで読んだものとは何となく作風が違う。
しかしそれがある意味新鮮で、面白かった。
浦上は、どことなく将棋の藤井君を想起させる。子どもの頃は負けたら泣いていたという棋士だ。
本因坊高村の兄弟子瀬川に弟子入りし、メキメキと腕を上げていく。師の一人娘とも恋仲になり、結婚も間近だ。
そんな中、天棋戦を戦った高村が変死する。
その後、記録を担当した記者も、謎の死を遂げる。
二人とも、自殺のように見えるが他殺ではと、観戦記者近江は高村と話す。
この二人が探偵役で、たどり着いた謎解きは二人だけのこととして、ついに警察にも黙り通す。
鳴子の刑事たちがいい雰囲気で描かれているのに、彼らが蚊帳の外なのは気の毒な気がするが、真相をあかすわけにはいかなかったのだろう。
これが初期の作品だというのがむしろ驚きで、こういう作風がもっとあればよかったのに。
ヒントになる小物が喫煙道具だったりと、時代を感じさせる。
本因坊殺人事件
Kindle版価格:480円
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