結城昌治【修羅の匂い】
結城 昌治 著
税込価格: 441円
出版 : 文藝春秋
ISBN : 978-4-16-712208-9
発行年月 : 1993.3
利用対象 : 一般
場末の調査事務所に持ち込まれた五つの依頼は、やがて凄惨な事件へと発展する。著者持ち前の曖昧の美学が光る本格ハードボイルド連作短篇集。
話し手の連木は、はやらない私立探偵をしている。
一人暮らし、家族はない。
ビルの4階は万沢組という組織暴力団の事務所になっている。
3階に入っているのは弁護士で、彼と、隣の結婚相談所の所長からの依頼事で、何とか暮らしている。
1階はビルのオーナーが経営しているスナックである。
冒頭の【脅迫者】は、弁護士が持ち込んできた話。
アクセサリー店経営者の夫からの依頼だ。
この時の被害者と一緒に住んでいた美保は、その後も登場する。
いい解決方法を提示したのだが、違う結果になってしまった。
だがそれは、予感していたことを否定しない、と書いて、突き放している。
幼い女の子は、どうなるのだろう?
【事件の陰に】
隣の部屋の塩野という結婚相談所の所長からの依頼。
夫が浮気をしているので、慰謝料を取って別れたい美容師が依頼主だ。
一応の解決はみたのだが、釈然としないまま事件を追いかけて、違った結論を見つけてしまったという話。
【擦れ違った顔】
犯罪現場近くで「擦れ違った」男を見たという証言から、犯人夫婦の芝居に気づくまで。
なかなか凝った設定だが、よく解らなかった。
【血の陰影】が、よかった。
同じ悲劇は、ごく最近読んだような気がする。同じ著者だったかもしれない。
しかし、椰月美智【14歳の水平線】(18.10.26)のような、使いまわしというのではない。
シチュエーションは似ているが、まったく別の話だ。
途中、おやと思う場面があって、やはりそれがヒントになっていた。
【修羅の匂い】
香水は魅惑的だが、また「その人」を特定する材料にもなる。
流木は、粋な計らいをしたと思う。
修羅の匂い
Kindle版価格:648円
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