横山秀夫【ルパンの消息】
横山 秀夫 著
税込価格: 761円
出版 : 光文社
ISBN : 978-4-334-74569-1
発行年月 : 2009.4
利用対象 : 一般
十五年前、自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人—。警視庁に入った一本のタレ込みで事件が息を吹き返す。時効まで二十四時間、事件は解明できるのか。【「BOOK」データベースの商品解説】より
デビュー前に、新聞記者をしながら書いたという作品。
当時の高校生の一人喜多が参考人として呼ばれるところから始まる。それからの、長い一日。
彼ら三人の高校生は、テスト問題を盗もうと計画していたのだった。学校から鼻つまみ者扱いを受けていた彼らは、卒業をかけて一か八かの勝負に出ようとしていた。
そして事件に巻き込まれ……
三人の内この喜多は、その後大事にしたい人が出来て、大学へ入り今は娘も授かって地道な勤め人になっている。
もう一人は、地上げ屋になっていた。
一方、警察側も、それぞれの事情を抱えつつ、捜査に臨む。
本書の主役は溝呂木という本庁捜査第四課の係長。
彼の両腕となる、大友と寺尾というサブキャップ。
寺尾は「落としの名人」と自他共に自負しているが、大友は地味な広報事務方に徹している。
寺尾は所轄書の刑事が一歩先を行ってるのが、気にくわない。
また、大友の仕事をやや軽蔑している風でもある。
だが、大友というのは実に仕事が出来る。溝呂木の考えたことの先を読み、的確な処理をしている。
この二人が、大友の子どもが生まれたあたりで、同僚らしいやりとりをするのが新鮮だった。
15年前の出来事は、喜多の供述として語られていく。
当時この三人が出入りしていた喫茶店のマスター、内海、
彼は三億円事件の容疑者として、取り調べも受けていた。
当時担当していたのが、溝呂木というわけだ。
そして事件の当事者である高校教師や生徒たち。
これら表舞台での役者を支えるのが、検事の粕川であり、鑑識の柳瀬だ。
そして大御所藤原。
彼らもやはり、いい役回りを与えられている。
紅一点、婦警の秋間幸子とは何者か。
そういった興味をもって引っ張りつつ、物語は大きな展開を見せる。
うーん、落としどころをそこへ持ってきたか!
刑事たちにいじられている女性記者、国領香澄で始まって彼女の特ダネで終わるラストは、意図的か?
WOWOWでドラマ化されていたようで、主役の溝呂木は上川隆也だった。
ルパンの消息
Kindle版価格:756円
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