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2019.01.20

今野敏【初陣】

初陣

初陣今野 敏 著
税込価格: 637円
出版 : 新潮社
ISBN : 978-4-10-132158-5
発行年月 : 2013/01/26
利用対象 : 一般

警視庁刑事部長を務める伊丹俊太郎と、大森署長の竜崎伸也は幼なじみで同期のキャリア。壁にぶつかった伊丹を、竜崎の一言が救う。【「TRC MARC」の商品解説】より

いつもの竜崎から見た展開ではなく、伊丹の葛藤など。
つい竜崎に電話をして助言を求める。竜崎は忙しいのに電話するななどと言いながら、的確な一言を与えてくれる。
という「スピン・オフ」短編集。


読んでいてどうも違和感があるのが、伊丹が竜崎を気にしすぎることだ。
竜崎側からすると、伊丹を常に意識していたように思うのだが。
伊丹はもっと、堂々としていたのではなかったっけ?


警察庁の「察庁(さつちょう)」が、「薩長」も指しているとは知らなかった。警察関係には鹿児島県の人が多いとかいうけれど、今も「薩長」があるとは、ホントのことかな?
で、その薩長出身者が福島県警へ行くと、柔らかく意地悪をされるとか。


冒頭の【指揮】での伊丹は福島で自分のしてきたことに後悔はない。次は警視庁の刑事部長という栄転だ。
しかし引き継ぎを次の日に控えて、事件が起きる。その事件が解決するまでは、現場を去りたくない。
後任は「薩摩」出身で、自分のやり方(指揮だけとる)に固執している。ここで何か起きれば面白いのに。

ま、事件も解決して、伊丹は無事東京へ。


なのだが、これまでの読んできたこのシリーズでは、竜崎から見た伊丹は、もっと偉ぶっていたような印象があるのだが。勘違いかな?

表題作【初陣】では、竜崎の警察庁長官官房としての「初陣」で、警察の裏金問題が出てくる。

解決不可能な大問題に思えるような事柄でも、竜崎が説明すると実に単純なことに思えてくる。どんな問題にも解決策はあるということがわかる。


次の【休暇】にきて、おやと思った。
竜崎は栄転で「警察庁長官官房」になってのではなく、こちらが先で、「不祥事」の責任を取って大森署長に降格されたのだった。

ここでは、伊丹は休暇を取って伊香保温泉に来ている。そこへ、事件発生の電話。
所轄書の竜崎は捜査本部など不要だという。その理由も、もっともだ。それは理想だという伊丹に、

理想を追求するのは当然のことだろう。そして、現実を少しでも理想に近づけるべきだ。
と説く。

伊丹の反論(竜崎に言ったわけではないが)は、こうだ。

組織の効率だけを考えてはいけない。組織というのは、歯車やゼンマイの集まりではない。人間が集まって作るものだ。
 そこには、多少非効率的であっても、必要な約束事というのがあってもいい。誰かがひどく割を食っていなければいい。

そして伊丹は、無事休暇を満喫できた。


しかし【病欠】では、またまた伊丹の現場至上主義や「とにかく休まない」が出てくる。
自身恐らくインフルエンザに罹患しているのにも関わらず出勤し、インフルエンザで休んでいる所轄の署長をも呼び出す。
迷惑なこと、この上ない。

しかし竜崎の署は、なぜか罹患者が一人しかいない。通達に忠実に、徹底した予防に徹したからだ。
今回も、竜崎の助言で事なきを得る。


といった話が続いていく。


同じような話だなぁと思いつつ、なかなか面白かった。


隠蔽捜査シリーズ、もう少し読んでみるかな。


初陣
Kindle版価格:590円


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