織守 きょうや【ただし、無音に限り】
織守 きょうや 著
税込価格: 1,728円円
出版 : 東京創元社
ISBN : 978-4-488-02003-3
発行年月 : 2018/08/22
利用対象 : 一般
疑いを差し挟む余地のない、資産家の老人の死。あれは本当に自然死だったのか。困難極まりない調査は私立探偵に持ち込まれ…。霊の記憶を読み取ることができる探偵・天野春近の調査と推理を描く、書き下ろし中編2編を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
第一話【執行人の手】と第二話【失踪人の貌】の中編二編。
この探偵天野春近は、ちょっと特殊な力を持っている。霊の記憶を読み取ることができるのだ。「ただし、無音に限り」で、声や音を聞くことは出来ない。
彼は周りに恵まれているというか、仕事を紹介してくれる弁護士朽木は信頼できる人物だ。
しかし彼自身の探偵業の能力はというと、はなはだ心許ない。
【執行人の手】では、これまたちょっと変わった男子中学生、楓が出てくる。
この楓は第二話でも登場し、天野のよきアドバイザーになっている。
さて、第一話【執行人の手】。
資産家の老人の死は、本当はどうだったのか。遺産が孫である楓に多く行くことに不満を持った長女桜子の依頼ではじめた調査だったが。
この老人は、だんだん頭も衰えていくことを自覚し、尊厳を保ったまま死ぬことを望んだ。
「最後を任せる相手」に選ばれたのが、中学生の孫、楓。
真相がわかってからの、楓のセリフがことごとくいい。
天野は『自分には探偵としての基本的なスキルが不足しているという自覚』はあったが、それがこの事件であらためて実感できたことだろう。
さて第二話の【】では、天野は楓の家庭教師をしている。また、家政婦がいい人で、時々晩ご飯をご馳走になって帰る。
話の方は、仰天のどんでん返し。
これまた、楓の一言がヒントになった。
楓は、中学生らしくない生意気な口をきくが、それが少しも嫌な感じではない。
このコンビ(?)による探偵談、もっと続けばいいのに。
ただし、無音に限り
2018年8月24日初版
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